走り出してすぐにフレーム全体の仕立てのよさが感じられるが、ファーストインプレッションでは巷で絶賛されているほどの爆発的動力性能を感じなかった。捉えどころがない。これといった特徴がない。しかし、乗り込み、セッティングや適正パーツを見極めていくうちに
安井行生によるロードバイクインプレッション!ヒルクライム、ダウンヒル、ワインディングと一台を300km乗り倒します!今回の一台はTIME VXRS ULTEAM World Star
ただ、少々理解しかねるのが小さいフレームサイズの異様に立ったシート角である。ジオメトリ表を見ると、500と520のシート角が76度と、まるでトライアスロンバイクのごとく立っている。純正のシートポストではポジションが全く出ないため、試乗ではLOOKのエルゴポス
ビッグブランドの旗艦ながら、最新のインテグラルシートピラーも、力強い大口径BBも、頼もしい極太フォークコラムも、空力に優れたフォルムも、そして派手なカラーリングも持たない。スペックマニアからは見向きもされなさそうな一台だが、しかしツール・ド・フ
ピュア・レーシングの切れ味を持ちながら、非常に高いレーシングバイクの純度を持ちながら、脚への当たりはきわめてジェントル。嫌な硬さがどこにもない。天井知らずの速さを持ちながら、扱いやすく、疲れにくいのである。高剛性バイクのようにそれと格闘する必要は
様々な革新的機構と滑らかで新しい走行感を武器にロードバイクの進化スピードを一気に加速させたニューマドンが、早くもモデルチェンジを遂げた。ランス・アームストロング擁するチームレディオシャックの駿馬として活躍中のそれを、安井は「ロードバイクの進化の
“しなりが瞬発力を生む” という少々威勢の良すぎるキャッチコピーをそのまま鵜呑みにするのは間違いかもしれないが、このフレームには 「このまま一日中走り続けられるんじゃないか」 と思えるくらいペダリングにピタッとフィットする感応スポットがある。これは
モノコックのメテオ・ランチと同時に発売されたラグドフレームのメテオ・スピード。方向性は2台とも同じ。カラーリングを含めた見た目もほとんど同じ。GDRの購入を決意した人ならどちらにするべきか思い悩むところだ。しかし乗れば意外な味付けの違いがあった。
しかし、実際の評価となるとはやり難しかった。決して万人に勧められる味付けではないからだ。明確に柔らかい。前回のドグマ60.1などと比べると、まるで 「別世界」 の乗り物である。しかし、僕の体重と脚力で踏む限り、巷で言われているほど、そして皆様が思われて
遂に市販されたグラファイトデザインの2本のフレームが自転車界に称賛と否定と歓迎と困惑を巻き起こす中、安井は「性能がどうのこうの…そんなことを列挙するだけなら小学生にだってできる。その前に僕らは、このフレームに対してやらなければならないことがあ
とはいえ、表面に二枚ほどソフトな層を残してあるのがこの最新鋭フレームのキモであり、プリンス・カーボンとの最も大きな差異である。プリンスと比べてダンシングがしやすく、長く維持しやすい。メーカーが 「グランフォンドにも対応する」 とアピールしているのは
1995年、インドゥラインのケラルライト。1996年、伝説のパリ。1998年、名車プリンス。2002年、真打ちドグマ。そして2009年、素材こそ変われど常に金属フレームをトップグレードに据えてきたピナレロが、遂に時代と足並みを揃えた。この事実を僕らはどう捉えれば
バイクの評価がファースト・インプレッションから大きくずれることは少ないが、中には第一印象は感動モノだったのに限界領域に連れて行くとボロを出すものや、どうということのなかったものが、長距離を乗り込むにつれ、どんどんとよく感じられてくることもある。59
LOOKといえども斟酌せず。待ち望んでいた595と400kmを共にした安井は、カーボンロードフレーム史上最高傑作と評されるそれに、いきなり悪態をついた。比較の精度を上げるため、595と同じホイールを付けた愛車585ウルトラで計300kmを走り、さらに朧げになりつつ
さて、ここに取り出したるは、筆者が試乗時に背中のポケットに入れて走っている、汗や涙や涎や鼻水がたっぷりと染み込んだインプレノート。新型バイクに対する感動や驚愕や不平不満や罵詈雑言がぶつけられることが多いここに、今回は、「オールラウンド、しかし古典
コルナゴのラインナップ中、最も高性能なスーパー・バイクのうちの1台、そのあまりの華やかさ故にダンボールから出した瞬間思わず絶句!の向日葵CX-1。「EPSショック」 直後という不利な状況をこの幸せの黄色い自転車は跳ね返せるか?伝統を脱ぎ捨てたコルナゴ
ただ、昔のLOOKのようにペダルが回転方向に吸い込まれていくほど滑らかなペダリングフィールはない。常に 「踏む・回す」 を強く意識させる。その上、わざとらしい演出やうわべだけの誤魔化しは一切ない。無慈悲に、潔くスピードを上げてゆく。そのかわり、筋肉は音
顔面着地に続き鎖骨骨折とツイていない安井だが、今回はさらなる不幸に襲われることになる。コルナゴ史上最強と謳われるEPSの2010モデル、しかも彼にピッタリの450サイズの試乗車が用意されてしまったのである。一週間後、300kmに渡る試乗を終えてハンドルを放
フォークとフレームとのマッチングはもっと煮詰められるように思う。フォーク右ブレードにメーターのトランスミッタを埋め込むのは確かにグッド・アイディアなのかもしれないが、もし僕がエンジニアなら走行性能を司るフロントフォークに大穴を開けるような工作は
あれほどOCLVとmade in USAの優位性を強調するトレックの「TAIWANメイド・非OCLVカーボンバイク」は果たしてどうなのか。狼の皮を被った○○か、それとも…?今回も安井はちょっと意地悪視点で眺め、考え、走り、感じ、もう一度考え、そして評価の仕方に悩み悶
Vol.36で乗ったゼニスのピーキーさに比べてハンドリングが普通になっていてびっくりしたが、なんのことはない、サイズの関係でヘッド角が0.5度寝ていただけのことだった (サイズ48:72.5度、サイズ51:73度)。しかしシート角は73度を保っており、スモールサイズだ
08モデルのゼニス・レース、09のゼニス・レース、今回の09ゼニスSLと意図せずしてゼニスマイスターになりつつある安井だが、インプレ直前に約3年ぶりの落車、しかも見事な顔着をメイクして顎・鼻・唇ザックリ。それに怯むことなく軽量化を果たしたSLをヤビツそ
R3シリーズのキモは (フレーム形状を一瞥しただけでおおよその想像はつくが) シートステーとチェーンステーにあると思う。極太チェーンステーと、不安になるほど細く横方向に偏平させてあるシートステーによって、横方向にかかる力 (ペダリングなど) に対しては
今回は安井にとって人生初となるサーベロ。せっかくだから、と08ツール総合優勝のハクが付く最上級モデルのR3-SLを借り、300kmのインプレッションに臨んだ。「パーフェクト!」なんていう、乗り物の試乗記を書かんとする人間が抱く感想としてはおおよそ相応しく
ブレーキングはどうか。デュラエースの高剛性キャリパーで、しかもわざと意地悪なやり方でリムをわしづかみにしてみても、減速中の挙動に破綻はまったくなく、減速しようと思えば意図したものと寸分のズレもないマイナス加速度でズズッと減速するし、止まろうと思え
リドレーの輸入代理店、JPスポーツから大きなダンボール箱が届いた翌日、編集部のPCに「天気がいいのでヤビツに行ってきます。仕事ですから。アディオス。」と書き残し、締め切り迫る原稿を(一時的に)放棄してパールホワイトのダモクレスと共に山へと消えた安
しなやかな面を強調することに変わりはないが、一度バイクとシンクロしてしまえば、加速にもどかしさはほとんど感じない。なぜならそれは、子供のための絶叫マシンのような分別のないものではなく、「加速とは、望む速度に至るまでに必要ないち過程にすぎない」 と
100年の歴史を持つスペインの老舗ブランド、BHが誇るフラッグシップモデルG4。いまやフレーム価格70万円を超えることも珍しくないハイエンドバイク市場にあって、プロユースモデルながら半額以下のプライスタグを付けるそれは、彼らと対等に渡りあえるのか。2週
話がだいぶ逸れたが、今回の主役はゼニス・レースだった。こんなイイ話が今の自転車業界にもあるのだぞ、ということをみなさんに知ってもらいたかった次第である。
さて、ゼニス・レースは今企画のvol.13でも走らせたバイクだが、09モデルになってフルモデルチェン
最新スペックの採用で大幅に進化を遂げたという新生ゼニスを前に、「08モデルにBB30入れてヘッド太くしただけ?そんなんでちゃんと走んのかよ?地味なルックスとナゾのパーツアッセンブルは健在だな」 などと暴言を吐いてグーサイクル営業チームをヒヤヒヤさせ
というわけで、「確かにカッコイイけど結局デザインモノってのは往々にしてナァ…」 と、あまり健全とは言えない猜疑心を抱えたまま走り出したのだが、疑いは驚きに変わった。あっさりと。いきなり安直な感想を一言で述べるとすれば、「SLX01は、かなり速い」。基本
スイスの新星BMCが放つ、煌く個性を持つ最新モデル、SLX01。今あえて変則的アルミ/カーボンコンポジット構造を採用した意味とは? その素晴らしいスタイリングは、走っても素晴らしいのか? ホイールをあれこれと換えながら、ときおり雪も舞った峠でせっせと走
だからFP7がその本質を見せるのは、乗り手が歯を食いしばってハンドルを強く握り締め、筋肉を強張らせてペダルを本気で踏み初めてからだ。そういう走り方をしないとFP7の真価は見えてこない。のんびりと走っているうちは入力に対するレスポンスに暖かみがなく、感性
サイクルモード2008で主役をさらったピナレロの新型レーシングバイク、FP7。イタリアンスーパーロードバイクの風情強く漂わすこの最新モデルに、安井はいかなる印象を抱き、300kmを経ていかなる結論に至ったか。そもそもモールド流用バイクに健全なるロードレー
なんといってもこの踏み出しの軽さ。そしてこの比類なき登坂力!軽快感とヒルクライム性能命!の一台である。中トルクまでの軽やかさは586も素晴らしいが、585の蹴り上げるトルクにはかなわない。だから硬派。だから魅力的。最近増えてきたライダーのご機嫌をうかが
登場からすでに5年を後にしようとしているLOOK
585を、いまさらながら、安井が本気で走らせた。その動機は完全なる個人的興味。その走行距離は300km以上。前回の586に次世代への飛翔を見た彼は、585にどんな評価を下すのか。前身であるKG481SLを愛してやまない
ハンドリングは安定指向。細かい切り替えしではアンダー傾向だが、直進安定性は非常に良好だ。ダンシングでもセルフセンタリング機構がついているかの如くフロントホイールは常に前を向かんとし、どの速度域でもどんな状態にあってもスタビリティは最高クラス。巡航
“史上最高のクライミングバイク” という、なんとも魅力的なコピーと共にデビューしたLOOK 586。奇跡的にサドル高の合う試乗車と対峙した安井は思う。今、ロードバイクに重要な変化が起きつつあるのではないか。剛性と軽さの追求?ロードフレームの進化とは、
しかし、ペダルの入力ポイントとタイヤと路面とのコンタクトポイントを繋ぐ全てのファクターが引っ張り・捻り・曲げ・圧縮などの応力に静かに耐えながらライダーの搾り出すか細いヒューマン・パワーを粛々と後方へと伝えている、そんなチタンという金属の分子レベル
リンスキーのフラッグシップ、R420。この美しいチタンバイクで300kmを後にした安井は、「これに乗るということは、設計者の意志と努力そのものに乗るということ。だからこそ冷静に接するべき」 と語った。レーシングチタンフレームが背負う残酷な現実にも目を向