FW乾貴士(フランクフルト)に変わって、後半18分からピッチに入った。その直前に、バヒド・ハリルホジッチ監督は通訳を介して宇佐美にこう耳打ちしている。
「ペナルティーエリアの近くでボールをもったら、積極的にドリブルでゴールへ向かっていっていけ。点を取ってこい。約束だぞ」
ボールをもてば誰にも負けない。いわゆる「オン・ザ・ボール」のプレーに宇佐美は絶対の自信を抱いている。ドリブルからのシュートやラストパス。所属チームでゴールに絡むプレーを繰り返していけば、おのずと日本代表のなかに居場所が築かれると信じて疑わなかった。
アルベルト・ザッケローニ元監督時代の2011年6月、2012年11月に日本代表に招集されたが、ともにピッチに立つことはかなわなかった。「出場して当たり前」と考えていたワールドカップ・ブラジル大会には代表候補にもあがらず、ハビエル・アギーレ前監督のもとでも一度も声がかからなかった。

2012年の宇佐美貴史
なぜ代表に呼ばれないなのか。自分自身を見つめ直した結果として、ボールのないところでの動き、いわゆる「オフ・ザ・ボール」のプレーが決定的に欠けているという結論にたどり着いた。
相手と虚々実々の駆け引きを演じながら、動き出しの速さでゴール前を陥れてワンタッチで仕留める。このオフにはリオネル・メッシやネイマールといった世界的なストライカーの「オフ・ザ・ボール」の動きを編集した映像を何度も見つめ、自らに意識改革を課してきた。
【日本中を震撼させた代表初ゴール…宇佐美貴史 続く】