「皆さんから聞かれるたびに、僕はぜひともそこ(日本代表)にたどり着きたいと常に言ってきた。ただ、どのような形で進めればいいのか、という詳細が僕にはわからない。そういった情報を教えてもらえれば非常に助かります。さまざまな情報が行き来しているので。プロサッカー選手になるチャンスを与えてくれた日本という国に対して恩返しができれば本当に嬉しいし、そのような形になればと思っている」
カイオが言う情報には、要件のひとつとして前掲した「住所」が民法第22条で定められた「生活の本拠」であり、その定義が曖昧となっていることも含まれているのだろう。
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留学ビザでは日本在住と見なされない、という報道もあった。そうなれば今年は日本在住2年目となってしまうが、同じように留学先の渋谷幕張高校を卒業してプロになったトゥーリオは、J2の水戸ホーリーホックに在籍していたプロ3年目の2003年秋に日本人の田中マルクス闘莉王になっている。
日本国籍取得には他にもさまざまな条件があり、申請しても承認まで半年から1年近くの時間を要することもある。つまり、先のことにあれこれ頭を悩ませてもしょうがない。いま現在のカイオの気持ちは、この言葉に凝縮されている。
「アントラーズで結果を出し続けることが、そこ(日本代表)につながっていくと思うので」
■偉大な先輩に続きたい
セカンドステージも残すは1試合。首位サンフレッチェとの勝ち点差は「3」だが、得失点差で大きく離されている現状を考えれば、2位につけるアントラーズの逆転優勝はほぼ絶望的といっていい。
それでも、アントラーズに消化試合はあり得ないとカイオは力を込める。
「アントラーズは常に勝利を求められるチーム。僕だけではなくて、チーム全員が同じ気持ちで最終節へ向かっていく。サポーターの方々もマリノス戦以上にスタジアムへ足を運んで、応援と声援で僕たちの力になってほしい」
最終節の相手はDF闘莉王を擁する名古屋グランパス。日本への帰化から日本代表となり、ワールドカップの舞台にも立った偉大な先輩から奪う初ゴールを未来へつなげるために。カイオはカシマスタジアムで大暴れする自身の姿を思い描きながら、キックオフ前に再びジェルで黒髪を固める。