173cm、69kgのやや華奢な体に搭載された、多彩なテクニックと圧倒的なスピード。クラブの高卒新人最多得点記録を更新する8ゴールをマークするなど、決定力も高い。柳沢敦の1年目は5ゴール、大迫勇也は3ゴールだった。
シーズン後の12月に行われたJリーグアウォーズでは、アントラーズでは柳沢、柴崎岳に次ぐベストヤングプレーヤー賞を外国人選手としてJリーグ史上で初めて受賞した。
アントラーズへの感謝を込めながら、カイオは晴れ舞台でこんなスピーチを残している。
「これは一歩前に踏み出しただけであって、これ以上のものを出せるように、献身的に忠実にこれからも頑張っていきたい」

存在がクローズアップされるごとに、カイオに対する「ある期待」も膨らんでいった。日本国籍を取得しての日本代表入り。アウォーズ後にはカイオ自身も、日本人になる夢があることを初めて明かしている。
「僕のなかでは常に日本人になりきってプレーしているので、日本人になれるのならば非常に嬉しい。日本は僕をサッカー選手として大きく成長させてくれた国なので」
■心に日本人のメンタリティーを宿す
サンパウロで生まれ育ち、名門サンパウロFCなどの下部組織でプレーしていたカイオが、千葉国際高校へ留学するために来日したのは2011年10月。17歳のときだった。
公の場では通訳を介するが、いまでは日本語でチームメイトとのコミュニケーションを取っている。日本帰化の要件のひとつ「引き続き5年以上日本に住所を有する」を来年秋には満たす。
何よりもJリーグ屈指の伝統と厳しさを誇る名門アントラーズで鍛えられてきた日々で、カイオは日本人のメンタリティーをその心に宿している。
たとえば今シーズンの先発回数。ファーストステージの13回が、指揮官がブラジル人のトニーニョ・セレーゾ監督から石井正忠監督に代わったセカンドステージは7回とほぼ半減している。
「確かに先発として出場できるほうが、選手としては嬉しい部分はあります。ただ、先発であろうとベンチスタートであろうと、チームのために全力を尽くすという自分の考え方はまったく変わりません」
決して腐ることなく、練習から常に全力を尽くしてきた。その結果が、リーグ戦ではチーム最多となる10ゴールをあげる源となっている。ここでもカイオはチームに感謝の思いを捧げる。
「練習は嘘をつかないという部分で、僕はしっかりと取り組んできた。ただ、試合へ向けた準備を積み重ねていくなかで、チームの結束、一体感といったものが、いろいろな部分でいい方向にはたらいている。それらが相乗効果となって、いい結果を生み出していると思う」
【鹿島アントラーズ・カイオが日本代表入りを熱望する理由 続く】