ブックメーカーの賭け率は2対1でメイウェザーが有利とされている。下の階級から上げてきたパッキャオと、メイウェザーでは体格が違う。身長で4センチ、リーチでは13センチもメイウェザーが上回っている。マレーも予想したように、この差が大きなアドバンテージと見なされる。
加えてメイウェザーには47戦無敗を支えてきたスピードと、ディフェンステクニックがある。遠い間合いから勝負に徹すれば、最後までパッキャオを寄せ付けずポイントアウトしてしまう可能性がある。
メイウェザー側の不安な点を挙げるとしたら、最近そのスピードに衰えが指摘されていることと、パッキャオのような左構えから鋭く飛び込んでくるタイプを苦手にしていることだ。
パッキャオは遠くにいるように見せながら、フェイントを掛けつつ一瞬で飛び込み、左ストレートを顔面へ伸ばしてくる。2014年11月に行われたクリス・アルジェリとの試合でも、体格で勝る相手から左ストレートで豪快なダウンを奪った。左が届けばメイウェザーも落ち着いてはいられなくなる。
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■熱戦になる可能性も凡戦になる可能性もある
勝敗は早い回にパッキャオがメイウェザーをつかまえられるか否かにかかっている。奔放な言動で知られるメイウェザーだが、ボクシングに対する姿勢、練習量は群を抜いている。スタミナ勝負になれば逃げ切るだろう。対戦相手を分析する眼も鋭い。「対峙すればすぐに対応の仕方が分かるんだ」という言葉も嘘ではない。
この試合、ふたりのファイトスタイルを考慮すれば、熱戦になる可能性も凡戦になる可能性もある。どちらに転ぶかは序盤の展開次第だ。パッキャオが早い回に左を当て、メイウェザーの心身にダメージを残せれば面白い展開になる。そうでなければ12ラウンド、ひたすらメイウェザーの時間が続く展開もありえる。