その人気は、ビジネス面だけではなく、「スタジアムまでの公共交通機関の無料化」「託児所」「視覚障害者用解説」など、公共的な観点からも地道な取り組みを続けてきたところにひとつの要因がある。
しかし、「観客動員数世界一」の多様な要因は、ドイツサッカーの歴史的・文化的な背景にまで広がっている。そう指摘するのは、ドイツスポーツを研究する明治大学の釜崎太准教授だ。
「なぜブンデスリーガに観客が集まるのか。そこには、ドイツの歴史に育まれたスポーツのフェライン、つまりスポーツクラブの固有性があります。スポーツのビジネス面ばかりに注目が集まるなかで、そうした文化的背景が見えにくくなっているのではないでしょうか」
日本の状況とまず比較してみよう。
近年、Jリーグのクラブを巡っては、「スポンサー獲得のために、クラブ名に企業名を入れてはどうか」という議論がある。確かに、日本のサッカークラブの資金難を考えれば、そうした議論があることは理解できる。「飲料メーカーのレッドブルが企業色を出しにくいために、Jリーグへの参入を断念した」という報道もある。
ところが、釜崎氏によると、ドイツの場合は「企業名が入らない」ことそれ自体が投資価値を生んでいるのだという。
どういうことなのか。ドイツサッカーの歴史を振り返ってみる。
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世界一の観客動員数を誇るドイツのプロサッカーリーグ、ブンデスリーガ
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