4年ぶりの旗艦LOOKは新時代をひらけるか vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

4年ぶりの旗艦LOOKは新時代をひらけるか vol.1

安井行生のロードバイク徹底インプレッション ヒルクライム、ダウンヒル、ワインディング一台300km乗り倒し!今回の一台はLOOK 695SR

オピニオン インプレ
4年ぶりの旗艦LOOKは新時代をひらけるか vol.1
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安井行生のロードバイク徹底インプレッション
安井行生プロフィール

4年ぶりの旗艦LOOKは新時代を拓けるか?
2011年モデルの中で間違いなく最大の大物であるLOOK 695。ロードバイクシーンの最先端で他のトップブランドとガチンコ勝負する最新兵器だ。ここ数年で新しいフェイズに突入しつつあるハイエンドロードバイクの世界において、最重要ブランドの一つであるルックの最新鋭車はどのような走りを見せ、そしてどのような意味を持つのか。実物を見ずしてオーダーを入れてしまったという物欲王安井の、VXRSワールドスターに次ぐ完全自腹インプレ第二弾!
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
695はLOOK社が4年ぶりに発表したフラッグシップモデルである。写真がリークされた途端、ロードバイクファンの話題を独占した。世は、老兵595の後継者の出現を今か今かと待ち望んでいたのである。
まずはっきりとさせなければならないのは、「695はモノコックなのかラグなのか」 である。モデル名の末尾の数字が “5” なのに、発表当初はモノコックフレームだとアナウンスされていた (従来のLOOK式ネーミングでは、車名末尾5がラグ式、6がモノコックだった)。
担当者に確認したところ、「少なくとも単なるモノコックと言えるほど単純なものではない」 とのこと。メーカーが公表している話ではないが、日本の担当者が本国のエンジニアに聞いたところによると、ヘッド部分やBB周りなど応力のかかる場所は585のラグのようにカーボンに高圧をかける製法でインナーラグのようなものを一度作成してから型で焼いているのだという。これからは車名末尾 「95」 が最高級ロードフレームを表すものになるということだが、そこには 「695は単なるモノコックフレームではない」 というエンジニアの主張も見え隠れする。
素材については、担当者に 「24tから80tの繊維を適材適所に使用している」 と聞いたが、これもメーカーは大々的に公表していない。フレームに使われるカーボン素材をトン数で表すことが多くなっている昨今、「80t」 と謳えばかなりのセールスポイントになると思うが、LOOK社は 「フレームのすべてが80tで作られているわけではないから宣伝文句に使うことはしない」 というスタンスなのだという。真面目な会社である。
2種類の剛性パターンが用意されるのも先代と同じ。しかし、585世代ではベースモデルである 「ノーマル」 をカリカリにチューンしたものが 「ウルトラ」 だったが、695ではプロが使用する 「SR」 を一般ライダー用にディチューンしたものが 「ノーマル」 になった、という出自の違いがある。ジオメトリは一新され、トップチューブ長、シート角、ヘッド角など全てが585とも595とも異なるものになっている。注意しなければならないのはヘッドチューブがコンフォートモデル並みに長いことである。
695最大の特徴が専用のZED2クランクである。左右アームとシャフトがカーボンで一体化された軽量高剛性クランクで、BB65という専用の大口径BBシステムを介してフレームに挿入される。内蔵されているシムの角度や位置を変えることで長さと角度を可変させることができるC2ステムも付属。その他、フレームとの間にエラストマーを挟むISP 「E-ポスト」 など、LOOKならではの独自機構を数多く採用している。なお、695の発表をもってLOOK社は名車と名高い585と595を共に潔くドロップさせている。

スペック
キャプション
ガラリと変貌したLOOK、「らしさ」はいかに?
3度目の…
「LOOKよ、おまえもか」 は、これで3度目になる。1度目は、KG381がインテグラルヘッド化したとき。2度目は、それまでの細身ホリゾンタルシルエットをあっさりと脱ぎ捨てた585を発表したとき。そして、この695を見たときである (こう感じているのは筆者だけではないらしく、LOOKというブランドに対する 「おまえもか」 の台詞は専門誌などでも散見することができる)。
3度目の理由は、円断面パイプ&ラグドフレームに拘っていたルックらしからぬモノコック然としたそのフォルムだ。時代に迎合したようなそのフレームデザインだ。遂にLOOKも 「フレーム形状自由化」 し、各チューブは大口径の四角断面に。細身シートステー&極太各断面チェーンステー、ハイボリュームBBエリアなど、フレーム形状は一気に近代的なものになり、トップチューブ~シートチューブ~シートステーの形状など、T社のトップモデルと瓜二つである。への字型のトップチューブは、「快適性にも十分に気を遣っておるんですよ」 ともみ手をしながら近づいてくるようだ。ルックスは、695に対しての筆者のささやかな 「不満その1」 でもある。
「不満その2」 は、695自慢のCステムだ。コラムクランプ部とハンドルクランプ部にそれぞれ可動機構を持つこの複雑怪奇なステムが重量面で不利であることは明白だろう (カタログ値は140gだが、筆者の90-100mm長のステムは実測198gもある)。2ヶ所もリンクがある分、剛性面でも不利になるかもしれない。それに、長さを短い方に設定した場合、余った部分が前方に突き出してしまい、ワイヤーのラインを邪魔することもある。わざわざこんなステムを装備するメリットが個人的には見出せない。ハンドルを高くする必要がないのであれば (角度調整可能なCステムの装備を前提にした695のフォークコラムはハナから短くカットされている)、普通のステムに付け替えて乗ることになるだろう。もしフロント周りの剛性感がトータルで設計されているのであれば (そしてそれを感じ取ることができるのであれば)、重量とスマートとは言えないルックスに目をつぶってでも使ってみる価値はあるが (Cステムで乗ると振動吸収性が心なしか向上し、フロント周りの操作性が若干しっとりするような気がするが、メリットなのかネガなのか分からない程度のものであった)。
おむすび型のシムの向きを変えることでクランク長を170mm-172.5mm-175mmと可変できるクランクのペダル取り付け部にも同じこと (=低剛性化と重量増) が疑えるが、ここはアーム~シャフト一体成型&大口径ベアリング使用による軽量化&高剛性化というメリットがそれを大きく上回っていると思われる。それに、3種類の長さと2種類のPCDを一つの製品 (一つの金型・同じ製造工程) でまかなえることによるコストダウンというメリットにも気付かなければならないだろう (「不満その3」 となるこのクランクについては後述)。
695フレームセットを手に入れると、専用ステム、専用クランクの他、ペダル (ケオブレードクロモリシャフト) とオーナーズキット (ソーガイドやケーブルセット、バーテープ、スペアのエンドなど) が入った専用バッグが付いてくる。ステム3万、クランク8万、ペダルを2万円とするとフレームは約40万となり、LOOKのトップモデルとしては思い切った戦略価格だと言える (2010年モデルの595は47万円強)。予想通り発表直後から注文が殺到し、早々にオーダーストップとなってしまったという。2012モデルは所々が改良されてくるだろうが、おそらく容赦のない値上げも実施されるだろう。
「ちゃんと『この下手くそ!』と言ってくるんだ」
「おまえもか」 と思わされた後、なぜか僕は毎回そのLOOKを入手するはめになる。インテグラル化したKG381iの後継車、KG481SLは2本も買った。走行感も見た目も大幅にイメチェンした585ウルトラは、現在最も気に入っているフレームの中の一本である。大きく変化するLOOKは、「おまえもか」 の懸念を吹き飛ばしてしまうほど毎回しっかりと魅力的なのだ。
695は最初から諦め、モノも見ないうちにオーダーした。というより、フランスで行われた発表会に参加したある先輩ジャーナリスト氏から、「オレらは (いい意味で) 古いタイプのフレームが好きだろ。695は、ああ見えてちゃんと古いんだよ。世の中のロードフレームが全部マドン化もしくはターマック化していく中で、あれはライダーにちゃんと 『このド下手!』 と言ってくるんだ」 と聞いて、我慢できなくなってオーダーしてしまった、というのが正直なところだ。
たっぷり5ヶ月待たされ、やっと手元にある。初期ロットに対して不安がなかったわけではない。このようなブランニューフレーム、しかも独自の機構を多く持つタイプのフレームセットでは発売初期にプロトタイプに毛の生えた程度のものが出てくることもあり、年を追うごとにどんどんと煮詰められていくものだ。不安な人は、来年モデルを選ぶといい。勉強のために自分で組んでみたが、やはり普通のフレームのように何も考えず組み上げられるわけではない。多少の加工や考える力が必要とされる。こと695に関しては、オークションや海外通販はお勧めしない。
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