ピナレロ FP6、プロユースの遺伝子次ぐニューモデル vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

ピナレロ FP6、プロユースの遺伝子次ぐニューモデル vol.1

オピニオン インプレ

安井行生のロードバイク徹底インプレッション
安井行生プロフィール

デュラエースとMostパーツを搭載した限定完成車 プロ使用バイクの遺伝子を受け継ぐニューモデル
パリカーボンの金型を使ったピナレロの新型バイク、FP6に安井が早速試乗。カーボンの弾性率をただ下げただけのフレームではないのか?という疑問を胸に、三増峠〜半原越〜ヤビツ峠という練習コースを二往復。ピカピカのニューモデルを遠慮なくシゴき倒し、合計500kmの徹底インプレッション!
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
シーズン途中にアーリーモデルとして発表されたピナレロ FP6。プロ用レース機材としても定評のあるパリカーボンをベースとし、カーボン素材を30HM3K (パリは46HM3K) に置き換えたニューモデルだ。パリカーボンの剛性感はそのままに、優れたコストパフォーマンスを実現しているというFP6は、オリジナルパーツでトータルコーディネイトしたSOE (Simulation Optimize Evolution) 完成車モデルとして販売される。
フレーム形状はパリカーボンを踏襲。前後のONDAフォークはもちろん、トップチューブとダウンチューブに入る波のような造形も受け継いでいる。
パーツはシマノ・デュラエースを中心に、MOstのハイグレードカーボンパーツや軽量なPANTHERホイールなどを搭載し、ロングライドイベントはもちろんレースにも参戦できる即実戦スペックとなっているという。
※本来なら、FP6完成車にはMOst PANTHER CXというコンプリートホイール (実測重量はF:655g、R:805gとアルミリムモデルにしては最軽量クラス。乗り心地にも優れたホイールとのこと) がセットされるのだが、今回の試乗には残念ながら間に合わず、キシリウムSL+フルクラムレーシング1を使ってのテストとなった。パーツについても、ステム、ハンドル、サドルは交換して試乗を行った。よって、完成車販売のみとなるFP6だが、今回はフレームについてのインプレッションだと思っていただきたい。(撮影時にはMost CHALLという下位グレードのホイールを使用)

スペック

絶妙なトラクションのかかりが魅力 完成度の高いニュージェネレーション

まずその成り立ちを聞いて、萎えた。パリカーボンの金型を流用し、カーボンのグレードを下げて低価格のフレームを作った、というヤツである。どうもホンキで作ったという感じがしないし、性能的にも 「poorman’s〜」 という接頭語が付いてしまうのでは、と思ったからだ。ちなみに、アルミカーボンバック時代の2代目パリから受け継がれているトップチューブとダウンチューブに入る波のような造形について、「ねじり剛性と振動吸収性がアップする」 とメーカーは説明するが、僕は信用していない。

パリカーボンに乗ったことのない僕は、そんな先入観を持ったまま、FP6には全く期待せずに乗ったのだが、驚いた。予想に反してと言ったら失礼だが、むちゃくちゃイイ。とにかくよく走る。
驚くほど滑らかで、官能的なしなりとキレのいい推進力が同時に存在している。これ以上硬くても柔らかくても不快になるであろう絶妙なしなりを伴ってクンクンクン、と加速していくFP6は、サイクリストにとって快感発生装置以外の何物でもない。
広報資料には 「グランフォンドやロングライド志向のユーザーの要望にも応じられるスペック」 とあったが、これはサーキットレースやヒルクライムレースにも充分に対応できる高性能が出ている (あくまでもキシリウムSLと、52kgという体重の組み合わせでの印象ではあるが)。
はっきり言って、触れたら肉を断たれるような衝撃的鋭さはない。じゃあ鈍いのかと言えばそれもちがう。まろやかだがシャープさもあり、トルクをかけるとストーンと前に出るのだ。脚にくるような嫌な硬さはなく、翌日に持ち越される疲労も少ない。ピュアレーシングバイクにみられるようなピーキーさも、全くない。
乗り心地はフルカーボンフレームとしても抜群にいい。衝撃が一瞬で収まる減衰性は、良く出来たコンフォートバイク並かそれ以上である。このような走行性と快適性の両立には、カーボンの使い方の進歩を実感させられる。ただ快適なだけのコンフォートバイクは少し焦り始めたほうがいい。卓越したカーボンの扱い方を知らなければ、このバランスは実現できない類のものだろう。
《編集部》
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