コルナゴのコンフォートバイク vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

コルナゴのコンフォートバイク vol.1

オピニオン インプレ

安井行生のロードバイク徹底インプレッション
前回のエクストリーム・パワーとは対極に位置するコンフォートバイク、コルナゴ・CLX
イタリアングラフィックに彩られた美しいカーボンフレームはどんな走りを演出してくれるのか?
そしてライター安井が人生初のコンフォート系バイクから受けた印象とは?
今回も100km以上を走っての徹底試乗!
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
湾曲したトップチューブ〜シートステーが目を引くコルナゴ・CLX。ロングライドやグランフォンド向けとして快適性を重視して作られ、07年にデビューしたモデルである。ハイモジュラスカーボンでモノコック成型された前三角に、快適性を高める 「カーブドシートステー」 と 「リーフチェーンステー」 が接着され、エレガントなフレームを形作っている。まるでTTバイクのような翼断面形状を持つシートチューブには専用エアロピラーが付属。フォークは新開発となるCLX専用ストレートフォーク。
このCLXは昨年からの継続モデルだが、08モデルではカラーリングを一新している。ラインナップにはシマノ・デュラエース仕様が加わり、アルテグラSL、105との3機種での展開となる。試乗車はアルテグラがアッセンブルされたセカンドグレードで、クランクはアルテグラのコンパクトタイプ、ホイールにはMAVIC・アクシウムが組み合わされる。

編集部に届いた試乗車は1mも走っていないまっさらの新車だった。カラーは明るいグリーン。07年デビューのバイクだが、昨年モデルに施されていた木の枝のような独特のグラフィックはなくなっている。08モデルは滑らかなラインが丸みのあるフレーム上を踊り、よりいっそう洗練された雰囲気だ。さらにクローバーマークの一部が欠けている新しいエンブレムがペイントされていたり、“COLNAGO”のフォントが斜体になっていたりと、ルックスはシェイプアップされた印象。距離を走らないとこのフレームの価値は分からないと思い、編集部のある赤坂から西へ、約160kmのロングライドに漕ぎ出した。
トルクをかける走り方には向いていないか
ロードレーサー、即ち 「競技用自転車」 だと思って乗ったなら、はっきり言ってCLXはネムいバイクである。アグレッシブな走りで鋭さを感じることは難しい。グレードの低いホイールのせいもあるのだろうが、ダンシングで加速させようとしてもスピードメーターの数字は緩やかにしか変化せず、登坂ではフレーム全体がたわんでいる感覚がつきまとう。
しかしヘッド部分が腰砕けになったり、バックだけを引きずるようなぎくしゃくとした不快感はないので、これは意図的に演出している性格なのだろう。実は「コンフォートロード」と呼ばれるバイクは初体験である僕は、頭を切り替え、走り方を変えて試乗してみることにした。
平坦・中速域でのペダリングのしやすさはバツグン
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平坦を中速域のイーブンペースで流すようなシーンに切り替えると、それまでの印象は一転。このような走り方において、CLXはベストバイクの一台となる。まさに路面を滑るように走ってくれるのだ。ある程度のスピードまで上がってからの巡航性には素晴らしいものがあり、クランクが勝手に回ってくれるような、非常にペダリングしやすい印象を受けた。中トルクまでの入力に対してはソフトなフレームがペダルからのショックを吸収し、かといってたわみすぎることもなく、快適なしなやかさを演出してくれる。
ヒルクライム性能はおせじにも高いとは言えないが、シッティングで軽めのギアをキレイに回すのならば、現代ロードバイクのレベルには十分達している。
景色を楽しみながらのサラリとしたダウンヒルは、CLXの持ち味が最も発揮されるライディングシーンの一つだ。フレームに身体を預けるようにしてフワリフワリとコーナーをクリアしてゆくのは 「超」 がつくほどに快適で、鼻歌を歌いたくなるほど心地よい。平坦路や下りでの挙動は素直で平和。穏やかなハンドリングで安心感がある。
20〜35km/hあたりの速度を維持する走りが得意
低速〜中速域では感動するほどの振動吸収性を見せるCLXだが、40km/h前後からの高速域に入るとコツコツとした振動が伝わってくるような気がした。急激な入力をいなすのは苦手なのだろうか (低〜中速では振動吸収性が良く、高速では悪くなるということが物理的にあり得るのかどうか分からないが)。このバイクには (そのコンセプトに見合った) 得意な速度域があるようだ。
冒頭で競技的な走りはダメだと書いたが、それでいいのだと思う。むしろ、このバイクはそうであるべきなのだ。「上質でコンフォートな乗り味を」 というコンセプトがはっきりと走りに表れており、同じようなカーボンフレームがひしめく中で分かりやすい個性を持っている。その個性を求める人にとってはこの上ない魅力的なバイクとなるだろう。
パーツアッセンブルを工夫するとさらにしっくりくるかも
パーツについてだが、ここまでコンフォータビリティを重視したバイクであるにもかかわらず、快適性が高いとは思えないサドルに少しちぐはぐな印象を受けた。まぁこれは好みの問題なので一概には言えないのだが。
僕がこのCLXを楽しむとすれば、自分のお尻に馴染んだサドルを付けて、しなやかなナイロンソールのシューズをはく。プラボトルにCCDをぶち込むのではなく、保温ボトルにお気に入りの豆で挽いたコーヒーか質の良い葉で淹れた紅茶なんかを用意する。そうして肩肘張らずに、まったりしっとりと走ってみたい。
時代が求めるマイルドさとコルナゴらしい艶やかさが融合したバイク
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なんにせよ、ロードバイクの楽しみ方が広がるのはいいことである。近年、ロードバイクは幅広い年代の人に愛されるようになってきた。10年ほど前は、高いバイク=ピュアレース用だったが、このCLXはガシガシ踏んでいると 「まぁまぁ。シューズのストラップ、少し緩めたら?」 なんて言ってくるようなバイクだ。僕はその通りにして、快適で振動吸収に秀でたバイクに特有の滑空感を一日中楽しんだのである。
厳しいことも言ったが、「レースには出ないし本格的なヒルクライムもしない。でもカッコよくて綺麗なロードバイクで快適に走りたい!」 という人にはこれ以上ない最適なバイクだと断言できる。このコルナゴは台湾メイド (ジャイアント製) だが、もはやそんなことを気にするような時代ではないだろう。柔らかな曲線で構成されたフレームにはアーティスティックなグラフィックが施され、派手で、鮮やかで、コルナゴらしさに溢れている。リビングに置いても絵になるバイクというのは、実はそうそうあるものではない。
さらに、このコルナゴ・CLXという一台は、それを所有するだけで人生を少し華やかにしてくれるような、いつもの生活を多少ともワクワクする毎日に変えてくれるような、そんな不思議な明るいエネルギーを内包しているように思える。
休日の晴れた朝。 陽が差し始めた部屋に下りていくと、この美しいバイクがシャンとして待っているなんて。 考えただけで素晴らしいじゃないか。
《編集部》
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