【THE ATHLETE】限界説を払拭したファルカオ、牙を取り戻した虎はロシアを目指す | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE ATHLETE】限界説を払拭したファルカオ、牙を取り戻した虎はロシアを目指す

オピニオン コラム

ラダメル・ファルカオ 参考画像
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衰えであったりケガであったりで全盛期のプレーができなくなった選手に対し、見ている側は簡単に「彼は終わった」「もうトップレベルではない」などの言葉を浴びせてしまう。だがプレーしている本人は、そんな言葉を唯々諾々と受け入れるわけにはいかない。

もがき苦しみながら現状の打破を願う。そして稀にではあるが見事に復活する例も見られる。昨季のコロンビア代表FWラダメル・ファルカオのように。ファルカオはフランスで最盛期の輝きを取り戻した。2014年に負った『左ヒザ前十字靱帯損傷』の重傷と、その後に長く続いた低迷期から鮮やかに抜け出してみせた。


エル・ティグレ(虎)と呼ばれたコロンビア代表のエース


アルゼンチンの名門リーベル・プレートで素晴らしい成績を残したファルカオは、2009年夏にポルトガルの強豪ポルトに移籍する。欧州でのキャリアをスタートさせたファルカオは、いきなりデビュー戦から4試合連続ゴールの離れ業をやってのける。

ポルト在籍期間中には公式戦87試合で72得点という高い決定力を見せた。この活躍が認められアトレティコ・マドリードに当時のクラブ史上最高額となる移籍金4000万ユーロ(約53億円)で移籍する。

リーガ・エスパニョーラでも輝きを放つ
(c) Getty Images

利き足、逆足を問わず頭でも決められるファルカオはリーガ・エスパニョーラでも高い得点能力を発揮した。世界最高峰のストライカーと呼ばれるようになるまで、それほど時間はかからなかった。

そんな彼のキャリアが2014年を境に暗転する。


重傷、W杯選外、移籍失敗


きっかけは2014年1月に行われたフランス杯のモンドール・アゼルグ・フット戦だった。モナコの選手として出場したファルカオは、この試合で『左ヒザ前十字じん帯損傷』の重傷を負い、6ヶ月間の長期離脱を余儀なくされる。同年に行われたFIFAワールドカップにも出場できなかった。

リーグ・アン開幕戦には間に合い、ゴールも決めたことにより心配する声は一時的に収まった。だが期限付き移籍で加入したマンチェスター・ユナイテッドでは、期待を大きく裏切る低調なパフォーマンスに終始する。

コロンビア代表のエースと呼ばれた男が、公式戦29試合出場で4得点に終わった。当然のごとくマンチェスター・Uは買い取りオプションを行使しなかった。これでは終われない。ファルカオは「イングランド移籍は失敗」と口にする人々を黙らせるため、チェルシーに期限付き移籍して翌シーズンまたイングランドで過ごした。

チェルシーでも精彩を欠いた
(c) Getty Images

だがチェルシーでも状況は変わらなかった。もっと悪くなったと言ってもいい。再びの負傷離脱で公式戦出場は12試合、わずか1得点でイングランドでのキャリアに幕を引くことになる。


イングランドで挫折した男が、イングランドのクラブ相手に輝く


レンタルバックでモナコに戻ったファルカオ。彼はここで心身の傷を癒すことになる。不調の原因になった身体のケガは元より、それによって傷ついたメンタルを回復させることに成功した。

彼が世界に復活を強く印象づけたのは2017年2月21日。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16のマンチェスター・シティ戦だった。敵地で前半26分に先制されたモナコ。しかし、同32分に右サイドからのクロスへファルカオが飛び込みダイビングヘッドで同点ゴールを奪う。

圧巻は後半16分だった。再びマンチェスター・Cにリードを許すなかでモナコはカウンター。左サイドでボールを持ったファルカオがドリブルで切り込み、相手DFに競り勝つと最後は前に出てきたGKを冷静に見てのループシュート。美しい放物線がゴールマウスに吸い込まれる。

イングランドのクラブ相手に躍動
(c) Getty Images

この試合でモナコはキリアン・ムバッペも決めて、アウェイゴール3つを奪う。これが2戦合計スコアでの逆転劇につながった。


今度こそW杯に出場するために


昨季の活躍で力強く復活したファルカオは、今季も引き続き輝きを放っている。ムバッペら数名の主力選手が移籍したモナコを、リーグ戦6試合で9ゴールの活躍で牽引する。2得点を挙げたリーグ・アン第6節のあと、レオナルド・ジャルディム監督もファルカオが終わった選手というのは間違いだと上機嫌に話した。

「ファルカオは素晴らしい選手だと思う。今日の彼は得点したが同時にチームのためにプレーしていた。守備の仕事も予測しているんだ。ロッカールームのリーダーでもある。彼は我々のキャプテンだ。驚く人もいたがこれくらい普通のことだ。今日、彼を称賛した人の80%が、彼は1年半前に終わったと言っていた。現在の彼は素晴らしいレベルでプレーしている」

コロンビア代表としてロシアを目指す
(c) Getty Images

2年間の空白を埋めるような活躍を見せるファルカオだが、まだ彼にはやり残したことがある。コロンビア代表としてのFIFAワールドカップ(W杯)出場だ。母国が4大会ぶりに出場した前回大会は遠く離れた場所から見ていることしかできなかった。

「W杯出場は僕の夢だ。母国のW杯予選突破の手助けをする。まずはそれが僕を強くたきつけるし、さらに僕はプレーしたいんだ。試合に出たいし、その準備ができている」

ロシアW杯のピッチに立ったとき、彼の復活劇は本当のクライマックスを迎える。
《岩藤健》
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