■復活への序曲
横浜FCに感謝するとともに、新たな責任を背負った。「もういいでしょう」と周囲に思わせないために。例年1月に行う常夏の島グアムでの自主トレを2度に分け、心身にかける負荷を軽減しながらじっくりと体を作ったのは、復活への序曲にすぎなかった。
「年齢のことや肉体の衰えは、本来ならば自分から言うべきことではない。それでも、自覚しなきゃいけないこともある。28歳の選手と比べて20歳も違うわけですから、スピードでは勝てない。だからこそ一瞬の考えるスピードやポジショニング、ペナルティーエリア内での駆け引きで勝負しないと」
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三浦知良(2005年)
ピッチに立った以上は、チームの勝利のためにすべてを捧げたい。しかし、若いときのようにドリブルで果敢に仕掛け、守備でも相手を追いまわしていたら体力がもたない。ならば、ペナルティーエリア内における勝負に集中し、それ以外では必要最低限のプレーに留めるしかない。
「相手ゴールへ向かっていく意識は、ここ数年で一番強いと思っている」
勇気をもって、自らが置かれた現在地を受け入れる。同時に30年という膨大なプロとしてのキャリアのなかから「得点感覚」という武器を引っ張り出し、日々の練習で磨きをかけ、相手ゴール前において往年の輝きを取り戻しつつあるのが今シーズンのカズとなるわけだ。
【伝説を刻み続ける48歳…キングカズが輝きを放ち、愛され続ける理由を探る 続く】