【小さな山旅】忘却の山登り…茨城県・雨巻山(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】忘却の山登り…茨城県・雨巻山(2)

オピニオン コラム
トウゴクミツバツツジ。普段は花の魅力はまるで分からないが、山に登ると魅力的に感じてしまう
  • トウゴクミツバツツジ。普段は花の魅力はまるで分からないが、山に登ると魅力的に感じてしまう
  • 「読書岩」は登山口~御岳山の途中にある。ナイスなネーミング
  • 御岳山頂上。標高433m
  • 御岳山~足尾山の鎖場
  • 手袋を持ってくれば良かったと後悔。事前の準備は大事!
  • 鎖場を抜け、無事に足尾山(413.1m)に到着
今回の雨巻山登山は、御岳山→足尾山→雨巻山→三登谷山(みつとやさん)→ゴール、というルートを選んだ。

(え?ここを下るの?まさか…)

そう思ったのは、御岳山の山頂でのこと。ここから足尾山に向かう予定であったが、道らしい道が見当たらない。あるのは断崖絶壁…とまではいかないが、傾斜の急な岩場だけ。よく見てみると、くさりが垂れ下がっている。

標高400mそこそこの低山縦走で、こんな急な下りしか道がないなんてことはないだろう。御岳山の山頂でくつろぐ登山者に、足尾山に行くルートを尋ねる。

登山者「あー!そっちから登って来ちゃったの。逆の方(登りでくさり場)が良かったのにね」
筆者「え、ということは、そこのくさり場を行くしかないんですか?」
登山者「そうなるわね~(オホホホ)」
筆者(マジかよ、オホホじゃないし)


御岳山~足尾山の鎖場

●低山でも下調べを怠ってはいけない
仕事は「段取り八分仕事二分」とよく言われる。事前の準備や下調べの度合いによって、仕事の成果は異なるものになってくる。それは仕事だけでなく、遊びでも同じことが言えると最近思うようになった。今回の雨巻山登山ではそれを痛感させられた。

猪突猛進タイプの筆者は、段取り=下調べや準備を怠りがち。今回もくさり場があるのを知らずに登ったので、当然手袋の準備をしてこなかった。素手でくさりをつかむので鉄の匂いが手に染み込んだ。周囲の草木で手の甲を切った。


手袋を持ってくれば良かったと後悔。事前の準備は大事!

また、ここ雨巻山は春に登るとトウゴクミツバツツジやヒメシャガなどの花がきれいに咲くことで有名らしい。そうとは知らずに登って、すれ違った登山者に「見ました?トウゴクミツバツツジ」と聞かれても、「へ?何のこと?」と戸惑うだけ。

その登山者と会話をする中で「トウゴクミツバツツジ」の言葉が何度も登場するが、名前が長くて覚えられず、何度も聞き返すばかりだ。

何事も段取りが大事。仕事でも、遊びでも、低山でも、それは同じことが言えるのだ。

……と、山に登りながら自分の愚かさを見つめ直し、反省をする。そして今後は段取りをしっかりしようと心に決める。そのような「発見」ができるのも、低山ハイクの魅力だ。

自然の中で、人生の大事なことを学び、人として一回り大きく成長した筆者は、その後、ゆとりを持ってこの山を楽しむことができた。普段は目もくれない草木や花をじっくりと観察し、山頂からは近隣の山々の連なりを眺めた。山肌は春の花の色でほのかにピンクに染まり、季節ならではの里山の風景が広がっていた。


御岳山頂上。標高433m

●自然の中で「忘却」する
これらの自然の風景を眺めていると、人生の辛さや悩みなど、きれいサッパリ忘れてしまう。心の浄化作用が山にはあるようだ。仕事での嫌なこと、プライベートの非・充実ぶり、今日悟った自分自身の愚かさ…(あっ!)。

忘れてはいけないことまで、忘れることができる。「忘却」できるのも低山ハイクの魅力(?)である。
《久米成佳》

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