【小さな山旅】夏と千葉と最低山…千葉県富津市・稲荷山 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】夏と千葉と最低山…千葉県富津市・稲荷山

オピニオン コラム
千葉県富津市・稲荷山
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夏といえば。海? 川? キャンプ? 花火? それとも冷やし中華?

いやいや、やはり山だ。でも、山といっても、高山に限る。夏の低山なんて、ムシムシするし、虫虫いっぱいだし、草の葉で肌を切るし(風呂入った時にしみる)、あまりいいことはない。

だが、最低山なら別である。都道府県ごとにひとつは存在する最低標高の山。そのほとんどが標高数十mの高さで、散歩にすらならないほどの運動量である。サクッと登って、サクッと下りる。最低山ならば、夏でも低山ハイクが楽しめる。いやむしろ、夏こそ最低山に限る。

先日、夏の暑いさなかに千葉県の最低山・稲荷山(標高16m)に行ってきた。富津市の富津岬から少し離れた場所にある古墳で、山というよりはまぁ、なんというか……といった感じなのは、毎度のこと。

稲荷山古墳は、住宅と水田に囲まれた場所に、ひっそりとあった。前方後円墳で周囲は溝が掘られている。この古墳は、全国的に見ても状態がいい古墳とのこと。古墳に立ててある看板によると「周溝規模では~略~6世紀後半の古墳としては東日本最大」とある。山としては千葉県最低標高であるが、古墳としては立派なもののようだ。



さて、最低山ハイクならぬ古墳探訪の始まりである。やぶをかき分け古墳内に侵入。5分足らずで一周歩けてしまうほどの規模だ。ハイキングというよりは、遺跡調査という感じ。山の中は木陰に覆われていて山の外よりも幾分涼しい。その上、鳥たちの甲高い鳴き声が、納涼感を出している。予定通り、サクッと登って、サクッと下りた。後には「千葉県の最低山を踏破した」という微妙な達成感のみが心に残った。

稲荷山から帰る途中、国道から東京湾が見えた。東京湾と海水浴はまるで結びつかないものだが、ヤブをかき分けて歩いてきた人間にとっては、東京湾の海面は、実際以上にキラキラ輝いて見えた。いくらサクッと登り下りしたとはいえ、夏だから汗はけっこうかいた。すると当然、水辺がたまらなく恋しくなる。

前言撤回、夏はやはり海に限るような気がする。山ならやはり高山がいい。最低山は二の次、いや三の次だ。
《久米成佳》

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