【THE REAL】遅咲きのストライカー、浦和レッズ・興梠慎三が描く夢…リオの地で最高の誕生日を 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】遅咲きのストライカー、浦和レッズ・興梠慎三が描く夢…リオの地で最高の誕生日を

オピニオン コラム
興梠慎三 参考画像
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◆リオデジャネイロ五輪か、Jリーグセカンドステージ公式戦か

今シーズン5点目を決めた李忠成、ラストパスを送った興梠がそろってバランスを崩し、その場に倒れ込んだ瞬間に、レッズのセカンドステージ連勝ステージを決定づけるダメ押し弾がゴールに吸い込まれていった。

23歳以下という年齢制限の枠を超えて、オリンピック本大会で最大3人まで招集できるオーバーエイジ。ともに27歳の藤春廣輝(ガンバ大阪)、塩谷司(サンフレッチェ広島)の両DFの内定が6月14日に発表された一方で、残る1枠をめぐる交渉は難航した。

実は日本サッカー協会から届いたオーバーエイジの打診に対して、興梠は断りを入れている。リオデジャネイロ五輪を戦えば、最大でセカンドステージの5試合を欠場することになるからだ。

ファーストステージのレッズを振り返れば、勝負どころの後半戦で鹿島アントラーズ、ガンバ、サンフレッチェに喫した3連敗とともに優勝争いから脱落。最終的には3位に甘んじていた。

タイトル獲得を常に期待されるレッズの一員として、年間王者を決めるチャンピオンシップ出場を逃すことは許されない。そのためにはセカンドステージ優勝を目標にすえて、年間総合勝ち点を可能な限り伸ばしていくしか道はない。

だからこそ、一度は日の丸への思いを封印した。状況を変えたのは、U-23日本代表を率いる手倉森誠監督からかかってきた一本の電話だった。

「一緒に戦ってほしい」

短い言葉に凝縮されていた、指揮官の熱いが興梠の決意を次第に翻意させる。藤春と塩谷の名前が発表されてから9日後の6月23日。最後の一人として興梠が発表された。

メディアで名前があがっていたヨーロッパ組の大迫勇也(ケルン)、3年連続得点王の大久保嘉人(川崎フロンターレ)ではなく、興梠に白羽の矢を立てた理由を手倉森監督はこう説明する。

「しなやかさと野性味を繰り返し発揮し続けられるタフさがあるし、ポストプレーも(相手の最終ラインの)裏へ抜け出すプレーもできるし、引いた相手に対する攻撃とカウンター攻撃の両方に対応できる。リオデジャネイロ五輪で間違いなく攻撃のバリエーションを増やしてくれる選手だし、身体能力の高い相手に対しても彼のしなやかさは効果を発揮すると思う」



興梠慎三 参考画像


かかとでのパス、右足でのトラップ、そして右足からのパス。7秒間に繰り出された3度のボールタッチで李忠成のゴールをアシストしたレイソル戦でのプレーは、手倉森監督が求めるすべての要素が散りばめられていたといっていい。

体勢を崩しながらも確実にボールにコンタクトし、あるいは収めることのできる身体の強さと柔らかさ。李忠成の位置や動きを的確に把握していた視野の広さは、味方のストロングポイントを引き出す相乗効果を生み出す。

リオデジャネイロの舞台でおそらくツートップを組むことになる、久保裕也(ヤングボーイズ)の名前をあげながら、レッズで何度もホットラインを開通させてきた李忠成は興梠の活躍に太鼓判を押す。

「普通の選手ならば届かないようなボールでも、マイボールにしてくれる速さが慎三の武器。裏へも抜け出せるし、足元の技術も非常に高いから、コンビを組む久保君も非常にやりやすいと思う。ただ、万能型ではあるけど、生粋のストライカーというかフィニッシャーではないから、その分、久保君が上手くストライカーになってくれればいいんじゃないかな」

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《藤江直人》

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