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【THE REAL】柏レイソルの新たなレジェンドへ…工藤壮人が背番号9とともに歩む未踏のフィールド

オピニオン コラム
工藤壮人 参考画像(c)Getty Images
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そして、サッカー人生におけるアニバーサリーから一夜明けた7月20日。電話越しにツイッターと同じ言葉をかけられた工藤は、新たな目標を胸に刻んでいる。

「レイソルでプレーしている以上は、絶対に越えなきゃいけないゴール数でした。もっと速く超えられればよかったですけど、そこは素直に嬉しかったですね。でも、だからといって僕自身は何かを急に変える必要はない。しっかりと1点、1点奪い続けて、(最終的に)他の誰も届かないくらいのゴール数を決めないといけないと思っています」

2013年はリーグ5位タイとなる19ゴールをマーク。ナビスコカップ決勝では自らの決勝ゴールで浦和レッズを下し、MVPに選出された。アルベルト・ザッケローニ元監督が率いる日本代表にも抜擢され、4試合で2ゴールをあげた。

一転して2014年は7ゴールに甘んじて、目標にすえていたワールドカップ・ブラジル大会出場もかなわなかった。FWレアンドロの加入もあってサイドでの起用が多くなり、守備での負担が増したためだが、任されたポジションで常に全身全霊でプレーする姿は北嶋さんを彷彿とさせるのに十分だった。

そのレアンドロが、ファーストステージ終了後にヴィッセル神戸へ電撃移籍。工藤は再びワントップを任され、メモリアルゴールを決めたが、チームはレアンドロの穴を埋めるためにブラジル全国選手権得点王の肩書をもつエデルソンを獲得。7月29日の湘南ベルマーレ戦で、後半28分からデビューを果たした。


■レイソルとともに成長

エデルソンが入ったポジションはワントップ。左サイドに回った工藤は、未知数の可能性を秘めた新戦力の加入をポジティブに受け止めている。

「監督の意向もあるので、それを尊重しながらいい競争ができれば。エデルソンも90分間を戦う体力や戦術的な理解の部分ではまだ難しいものがあると思うし、僕たちも試合をしながら彼の特徴やよさを理解する段階なので。そうした関係を、もっともっと深めていきたい」

5試合を終えて6位につけているセカンドステージでの上位進出。そして、何よりもアジアを制するチャンスを手にしている。準々決勝の相手は金満補強でアジアのサッカー界を席巻してきた広州恒大(中国)。2年前は準決勝で大敗を喫しているだけに、工藤の闘志はおのずと昂ぶってくる。

「ゴールを奪い続け、レイソルとともに成長していけば、個人としての結果もついてくると思っている」

バヒド・ハリルホジッチ監督に率いられる日本代表へ復帰し、28歳で迎えるワールドカップ・ロシア大会の舞台で戦う目標も、もちろん色褪せることなく掲げられている。

パワー、スピード、テクニックのどれもが抜きん出ているわけではない。それでもバトンを託された北嶋さんのゴール数を超えた理由は、177cm、74kgのボディに搭載された鋭い洞察力と戦術眼、そして体を張った泥臭いゴールを厭わない強靭なメンタリティーを融合させて、相手ディフェンダーとの駆け引きを制してきたからに他ならない。

もちろん、目の前に誰もいなくなったといっても、その大きな存在感でレイソルを引っ張ってきた北嶋さんを超えたとは工藤本人が思っていない。

たとえるならばゴールのないチャレンジ。憧れてきた背中との距離を縮めるために、異能のストライカーは貪欲にゴールと勝利を追い求めていく。
《藤江直人》

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