■変化に富んだ土岳の登山道
「土岳」という名前だけあって、岩場もなく、草木も生えていない、まさしく「土だけ」の山かと思いきや、小滝沢登山口に着いてその姿を見てみると、草木が生い茂った何の変哲もない低山であった。
ところが、いざ登り始めてみると、山の中腹からは岩場の連続、そして少々急な登り坂が山頂付近まで延々と続く。意外にもアトラクションが多く、登山道が変化に富んでいるので歩いていて楽しいのだが、運動不足の人にはちょっと堪える登りである。
「山頂まで10分」の標識が見えたら、その後の傾斜はだいぶ緩やかになって、かなり歩きやすくなる。「山頂まで10分」というウレシイ情報と、 歩きやすい道というウレシイ状況に、気力も体力も回復し、一気に頂上へ。
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土岳は植物の種類も豊富。歩いていて、いろいろな発見がある
■公園のような頂上
土岳の頂上は、ちょっと変わっている。頂上といえば、大抵は狭苦しい場所であるが、土岳は丘のように広々としている。これは、侵食残丘という自然現象によるもので、この頂上の広さは土岳最大の特徴であり、魅力でもある。
キャッチボールなどお手の物の広さで、やる気になれば、ノックだってできるしフットサルだってできるだろう。その上、芝が生えていてベンチも備え付けられていて、展望台があって…まるで公園のようである。視界も開けているから、眺望もなかなかのものだ。
登りの歩行時間は1時間弱だから、テントなどの装備を整えればデイキャンプも楽しめそうだ。
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展望台からの見晴らし。この日は雲が出ていたが、近隣の山が見渡せた
広々とした山頂で、多賀山地を目の前に、悠々自適に時を過ごす。メロウなミュージックを垂れ流し、芝生で昼寝、木陰で読書、自慢の調理器具で山ご飯。風が弱ければ、バドミントンなどで遊んでもいいかもしれない。日差しが強ければ、持参したテントやタープでひと休み。しこたまビールを胃袋に流し込むのもいいが、下山に支障をきたさない程度に…。
そのような妄想が膨らむほどに、土岳の山頂は広くて居心地がよい。もう「土だけ」なんて言わせない。「土だけ」どころか、土岳の楽しみ方は無数にあるのだから。