新連載~都立三鷹高校サッカー部、最後の選手権 第1回【凡庸の流儀】 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

新連載~都立三鷹高校サッカー部、最後の選手権 第1回【凡庸の流儀】

オピニオン コラム
新連載~都立三鷹高校サッカー部、最後の選手権 第1回【凡庸の流儀】
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2014年12月30日、各都道府県で行われる予選を勝ち抜いてきた代表チームによる、第93回全国高校サッカー選手権大会が開催される。

その華々しい開幕戦を飾るのは、今夏の全国高校総体で優勝し、2年連続16回目の出場となる優勝候補の一角、東福岡高等学校(福岡)と、7年ぶり2回目出場の東京都立三鷹高等学校(東京B)。

本誌は、都立校として選手権出場を決め、夏の王者東福岡高校との開幕戦などの要素から一気に注目を浴びる、東京都立三鷹高等学校(以下、三鷹高校)の取材を行った。


練習風景


◆進学校として進化する三鷹高校、サッカー部弱体化の危惧も

7年ぶりに全国の舞台に舞い戻ってきた三鷹高校だが、以前出場した三鷹高校と、今年度の三鷹高校には大きく違う点がある。それは、高校生徒の母数の差である。

2010年に、三鷹高校は中高一貫教育校移行を決定し、同年4月より開校された三鷹中等教育学校を併設している。その影響で近年は高校の入学生徒を減らしてきたため、現在の三鷹高校は4クラスしかない。7年前の三鷹高校は8クラスあったことからするとおよそ半減している状態だ。

この状況下から、「一貫校になり、高校の人数も減り、熾烈な予選を三鷹高校サッカー部は勝ちあがれないだろう」といった声も一時期あったそうだ。

また、名称にも大きな変化がある。一貫校化に伴い、2015年4月からは「都立三鷹中等教育学校」と名称が変わるため、今年度は「都立三鷹高等学校」という名称での最後の選手権となる。


三鷹高校外観


◆多くの期待を胸に挑む、12月30日の開幕戦

選手たちは「都立三鷹高等学校としての最後の選手権」というもの以外にも背負っているものや、感じているものが数多くある。

ある選手は「みんな練習後には塾に通ったり、学校に残って勉強する」と話してくれた。進学校でもある三鷹高校の生徒は、国公立や難関私大の受験を、選手権の直後に控えているということも無視することはできない。

また、各地域の代表校が地元から受ける応援は、三鷹高校も同様に受けている。地元の駅やコンビニにも三鷹高校のポスターが貼られ、街を挙げての応援があり「中等の生徒も練習を見に来たりと、学校がひとつになって応援をしている」(三鷹高校 仙田校長)。学校から熱の入った応援があるということも言うまでもない。

選手権初戦を控えた彼らは、それらの色々な思いを背負ったまま、どういった気持ちで日々を過ごし、練習しているのだろうか。

◆スーパースター不在、文武両道。普通の高校生たちが磨き続けた「自主性の本質」

生徒数が少ないことに比例し、部員の母数が他の強豪校より圧倒的に少ないことに加え、スポーツ推薦制度も採用していない三鷹高校。

練習場も土のグラウンドであり、練習時間は通常2時間程度と限られている。そんな状況下で、選手権出場を決めることのできた理由はどこにあったのか。

その理由に少しでも近づくため、彼らの一日を追った。


三鷹高校サッカー部佐々木監督


佐々木監督によると、練習時間は「普段も1時間半~2時間くらい」。長いとは決して言えない練習時間だが、その練習を見学していると、まず感じることがあった。

それは、「監督がいない時間帯も厳しく練習を行う」ということである。

練習の場ではありながら、適度な緊張感が張りつめていた。

特に練習取材日は、佐々木監督が職員会議で練習のほとんどの時間を抜けていた。全ての練習の進行は選手だけで行われていたのだ。これについて選手曰く「自分たちだけで練習するということは多くはないが、監督がいない時間帯でもしっかりやっているのが普通」とする。

「監督がいない間もしっかり練習する」。この当たり前の取り組みを、高い意識レベルと内容のまま維持する。佐々木監督が「自分たちで決めたことをしっかりと守れるのが三鷹の強さ」と話すように、「あたりまえ」のことを「あたりまえ」としてやりきることのできる点が、三鷹高校が勝ち進んで来た理由の片鱗だろう。

以下の動画は、練習風景(ウォーミングアップのボール回し)の様子である。


◆本気で取り組むと話し合いが自然発生する

この日はボール回し、シュート練習、紅白戦という練習メニュー。紅白戦においては休憩時間ごとに各チームでの話し合いが自発的に起こり、「みんなサッカーに対して心から本気で、話し合いもよく起こる」(選手)といった言葉の通りであった。

「飛び抜けて上手な選手はいないけれども、チームとして本当によく戦えている」という評価のある今年の三鷹。


マネージャー陣も一丸になって選手権に挑む

スタメンとその他の選手に隔たりを感じることのないチームの雰囲気に、三鷹マネージャーも「みんなとても優しいです。いまの時期は受験も控えているので、部活の時間だけが私の楽しみです」と話す。

選手権はまもなく開幕する。

***

次回は、チームから個人へ視点をチェンジする。

一回戦で優勝候補筆頭の東福岡と当たることになり、選手たちはどう感じ、どう戦っていくのか。受験を控え、どういったプレッシャーを感じながらメンタルをコントロールしているのか。日々、何を意識して生活しているのか。

試合のキーマンになるとみられる選手へのインタビューを紹介する。
《大日方航》

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