【THE INSIDE】来たるべきシーズンへ…“ジャガイモ打線”で挑む匝瑳野球部 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE】来たるべきシーズンへ…“ジャガイモ打線”で挑む匝瑳野球部

オピニオン コラム
今の自分を見つめつつ、日々の練習に励む
  • 今の自分を見つめつつ、日々の練習に励む
  • 6基のナイター照明もある
  • グラウンドの向こう側は竹林になっている
  • ティ―バッティングもそれぞれで工夫をしていく
  • メニューも自分たちで工夫する
  • ロングティーの打ち込みは大事
  • 玄関を入るとすぐに作品がかけられている
  • 校舎にある校章
シーズンイン前。寒さの厳しい季節だが、全国各地の高校野球部は来るべきシーズンへ向けて始動している。そんなチームのひとつ、千葉県立匝瑳(そうさ)高校。どこにでもあるような普通の県立高校だが少し意識が変わりつつある。そんなチームの取り組みを拾ってみた。

房総半島を横切るように、千葉県の中央部を走る総武本線。千葉駅を過ぎて都賀から四街道、さらには佐倉を通り過ぎると、車窓には近代化された千葉市街とは全く異なった田園地帯の光景が映し出される。佐倉からさらに八街を越えていくと成東で東金線と分かれていく。総武本線をさらに進むと単線となっていくが、八日市場という駅につく。そこから徒歩で15分ほど小高い丘へ向かっていくと匝瑳高校がある。

1924(大正13)年に匝瑳中学として設立された90年以上の歴史を持つ古い学校だ。現在は普通科と理数科を有し、進学指導にも力を入れており、地元では信頼の高い学校として評価されている。昨年の入学試験実績でも、国公立大では茨城大に9人、千葉大4人、埼玉大3人、筑波大2人などの実績をおさめ、北海道大にも1人合格者を輩出している。そんな学校だけに、集まっている生徒は基本的には真面目でおとなしく勤勉だという。

校舎を入るとすぐに、美術科や書道の作品が廊下の左右に飾られており、芸術系の学科があるのかと思わされるくらいだ。文化活動にも力を入れているというが、運動部の実績という点では、400mトラックを有する陸上競技部が全日本女子大学駅伝で順天堂大の選手として走る選手を輩出したり、女子バスケットボール部が県大会上位に食い込んでいるというところが目立った実績だ。

数々の美術作品が廊下に掲示されている

そんな学校の野球部に、銚子西時代にはチームの初勝利から一気に甲子園出場を果たしたチームで捕手を務めていた越川恭伸監督が就任して2年目となった。この夏、学校としては実に47年ぶりという4回戦進出を果たして、「その気になれば、何とかなる」ということをチームとして実感することが出来た。

越川監督は、日体大を卒業後千葉商で8年野球部長を務め、母校銚子西では10年指導して、その間には県大会準優勝で春季関東大会進出も果たした。3校目となった多古では、広大だけれども荒れ放題だったグラウンドの手入れから始め、グラウンド脇にはジャガイモなどの野菜も育て、部員たちにも栽培させることで土に慣れることと心を育てていった。そんな取り組みが評価されて21世紀枠の件代表候補として推薦されたこともあった。チームは“ジャガイモ打線”ということで話題にもなった。

その後は東総工を経て、匝瑳へ赴任。ここが5校目となった。左翼87m右翼81mというグラウンドで外野には天然芝が植えられているが、その手入れはもちろん越川監督自身が行っている。そして、左翼後方の空き地には、多古の時代同様に選手たちに野菜を栽培させるようにしている。

「一人ひとりに苗を与えると、それは自分のものだという意識が出来ます。そして、それを育てていこうという気持ちになります。実がつくことで成果も手にとってわかります。それに、土をいじることで野球に大切な土を大事にするという心も育まれていきます」と、野菜栽培もひとつの練習メニューとしている効果を語る。

さらには、自分が育てた野菜を練習の後などに食することで、食育に対する意識も高まっていくのだという。「元々は農家の長男なので、農業に関しては子どもの頃から馴染んでいます。それを逆らって教員になってしまったものですから、こうして学校のグラウンドで土をいじっているんですよ」と苦笑しながら語るが、そこには確固たる思いもある。

地域の公立校なので、なかなか好選手が集まらないというのが実情だ。それでも、時に「この選手を育ててみたい」という素材に出会うことがあるという。しかし、そういう選手は、チームの中では天狗になりがちなところもあるという。だから、グラウンド整備なども手を抜くなどということもあった。

そんな時に越川監督は、「オマエの10分をオレにくれ」という表現で、一緒にグラウンド整備をする時間の10分を作り出した。そして、今ではその選手はチームの誰よりも一生懸命にグラウンド整備をして、野菜の栽培にも思いを賭けていく存在になっていったという。こうした一人ひとりの生徒との対話と地道な指導で、素朴な田舎のおとなしい高校生たちのチームを少しずつ逞しいものに育て上げようと取り組んでいる。

グラウンドの向こう側は竹林になっている

選手たちの意識も、それを身をもって理解していきながら、徐々に向上していっているという。14人いる1年生部員の中ではリーダー的役割を担っている大木陽介君は、チームの目標として「一人ひとりが自立して、自ら考えて行動できるようになること」を掲げている。

秋季大会に関しては、「技術的には課題がたくさんあったので、これからに向けてやることが見出せた」と考えている。そして、自分自身の目標としては、「走攻守そろった選手になりたい」とし、そのためには「ウエイトトレーニングなどで下半身強化していきたい」と考えている。

2年生で投手の軸となることが期待されている安井啓志朗君も、「自ら考えて行動すること」を目標として掲げている。自分自身に関しては秋季県大会を不甲斐ないものと考えており、フルの間にはフォームの安定をテーマとして取り組み、そのために下半身のトレーニングを中心に取り組んでいるという。チームとしては、「練習でも試合でも、自ら考えて行動し、声や雰囲気を大事にしていきたい」と考えている。

副主将で責任感も強い伊藤政哉君は、練習の目標としては、「練習が始まった時と終わった時で、少しでも終わった時の方が成長していると感じられるようにしたい」という思いを持っている。そんな思いで、この冬は筋力アップと体重の増量も取り組んでいる。技術的には守備力のアップを目指し、カメラなども使い、目で見て悪い部分の修正にも取り組んでいる。

「自分たちは決して強いチームではありませんが、雰囲気や声を出すという分野では、どのチームにも負けないようにしたい。力では劣っていたとしても、その分野を生かして勝利を掴みたいと思っています」チームへの思いは、確かなものとなっていっている。

全国で高校野球に取り組んでいるチームは4000弱あるが、そのうちの80%近くは匝瑳のようにごく普通の高校生が部活動として取り組んでいる野球部である。それでも、そうした中で、自分を成長させていきながら、一つひとつ階段を上るようにして達成感を味わっていく。各地の高校野球部の取り組みを見つめながら、そういう高校生たちの成長を追い続けていきたいと思っている。
《手束仁》
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