【THE REAL】骨折の悪夢を乗り越えて…FC東京・室屋成が挑むリオ五輪と先駆者・長友佑都の背中 3ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】骨折の悪夢を乗り越えて…FC東京・室屋成が挑むリオ五輪と先駆者・長友佑都の背中

オピニオン コラム
室屋成 参考画像(2016年1月26日)
  • 室屋成 参考画像(2016年1月26日)
  • 室屋成 参考画像(2016年6月29日)
  • 室屋成 参考画像(2016年1月6日)
  • 室屋成 参考画像(2014年12月14日)
  • 室屋成 参考画像(2014年9月28日)
「周りにうまい選手が多いので、自分に合わせてくれる。あらためてこのチームはやりやすいと感じましたけど、全体的に見れば個人としてそんなにいいプレーというのはなかったので。アシストでチャラになったくらいかな、と思っています。相手へ寄せ切る部分もそうですし、守備の面でももっとボールを取り切れる部分もありました。攻撃でも細かい部分で少しミスがあったので、そういうところは修正していかないと」

試合は亀川の不用意なハンドで与えたPKを、前半30分に決められて先制を許していた。それでもピッチ上の全員が慌てず、7分後には同じくけがから復帰した中島が同点ゴールを決めていた。室屋が続ける。

「足が速い選手が多く、しんどい試合になるかなと思ったんですけど。同点になってから相手のペースが少しずつ落ちてきて、その後に逆転できて試合の流れを変えられたことが大きかった。ちょっとハプニング的な失点でしたけど、悪い流れのなかでもみんなが落ち着きを失わず、チーム全体で状況を上手く打開できたことは、今後のことを考えてもよかったのかなと」

復帰を目指し、ともにリハビリを積んできた中島が引き寄せた流れに乗ったなかで決めたアシスト。おそらくはこのプレーで、手倉森監督も右サイドバックとしての室屋に計算を立てたのだろう。

そのうえで、左サイドバックでの適性も試す。ひとりの選手が複数のポジションを務められる、いわゆるユーティリティー性があれば、それだけ他のポジションを厚くすることができるからだ。


室屋成 (c) Getty Images

果たして、7月1日午後2時から、東京・文京区のJFAハウス内で行われた最終メンバー発表会見。ひな壇の手倉森監督がゴールキーパーから、順にリオデジャネイロに臨む18人の名前を読み上げていく。

迎えた6人目。ディフェンダー陣では藤春廣輝(ガンバ大阪)と塩谷司(サンフレッチェ広島)のオーバーエイジコンビ、そして亀川に続いて室屋がアナウンスされた。

亀川と室屋が左右のサイドバックを務められ、さらにセンターバックの塩谷、キャプテンのMF遠藤航(浦和レッズ)も右サイドバックの経験があることから、ディフェンダー陣は6人という小人数となっている。

「復帰して4試合目で、まだまだゲーム体力という部分が戻り切っていないのは確かなので。そこはもっと戻していかないといけないけど、(左足は)痛み自体もまったくないので、そこは問題ありません」

■リオデジャネイロはあまり意識していなかった

日本が44年ぶりにベスト4へ進出した4年前のロンドン五輪の時は、青森山田高校の3年生だった。清水エスパルスからオファーが届いたが、サイドバックに転向して2年目という状況を考えて断りを入れた。

急がば回れ、という思いを込めて選んだのは明治大学。長友佑都(インテル・ミラノ)を筆頭に、サイドバック育成に定評のある名門で心技体を鍛えることが、長い目で見ればサッカー人生においてプラスになると信じた。

「大学を選んだ時点で正直、リオデジャネイロのことはあまり意識していなかったんですよ」

4年前の心境をこんな言葉とともに振り返ったことがある室屋だが、サッカー部を退部するまでの3年間で積み重ねてきた努力が急成長を促し、手倉森監督をも魅了する存在となった。

体育会サッカー部を3年次で退部し、明治大学に籍を残したままFC東京でプロとなり、ルーキーイヤーに開催されるオリンピックの舞台に立つ。室屋が描く軌跡は、8年前の北京大会に出場した長友をダブらせる。

南アフリカ戦から一夜明けた6月30日。室屋のツイッターには、古巣を訪ねてきた長友と写ったツーショット写真とともに、こんな言葉がつぶやかれている。

「明治の大先輩であり、僕のアイドル。いつか同じピッチでプレーできるよう頑張ります」


北京オリンピックを戦った長友は、岡田武史監督に率いられる日本代表でも不動の左サイドバックとして活躍。ワールドカップ南アフリカ大会でのプレーが認められ、イタリアへと旅立っていった。

室屋自身、将来はヨーロッパでのプレーを夢見ている。悪夢のケガと過酷なリハビリを乗り越え、たくましさを増した心技体をたずさえて、リオのヒノキ舞台をかわきりに再び自分自身の可能性と長友の背中を追いかけていく。
《藤江直人》
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