【THE ATHLETE】MLBが大きく動いた1週間…前田健太の動向にも影響か | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE ATHLETE】MLBが大きく動いた1週間…前田健太の動向にも影響か

オピニオン コラム
前田健太 参考画像(2014年11月12日)
  • 前田健太 参考画像(2014年11月12日)
  • ザック・グレインキー 参考画像(2015年10月15日)
  • シェルビー・ミラー 参考画像(2015年9月16日)
プロ野球の広島は12月9日、前田健太投手のメジャーリーグ移籍に向け、ポスティングシステムの申請手続きを行った。契約時に球団が受け取る譲渡金は予想されたとおり、上限の2000万ドル(約24億6000万円)になったようだ。

ポスティングシステムの申請が済んだことについて、前田は「今できることは何もない」と話し、あとは結果を待つだけだ。前田とメジャー球団の交渉は米国東部時間10日午前8時(日本時間10日午後10時)に解禁された。

果たしてどのチームが手を挙げるか気になるところだが、本命とされる球団は最近1週間ほどで大きく変わり、アメリカでも情報が錯綜している。当初"前田獲得レース"に最も乗り気とされていたアリゾナ・ダイヤモンドバックスが、ザック・グレインキーを獲得したためだ。

■6年総額2億650万ドルの大型契約

ロサンゼルス・ドジャースとの契約を自ら破棄し、フリーエージェント(FA)になる道を選んだグレインキー。今シーズンはキャリアハイとなる防御率1.66、19勝3敗の成績を残し、クレイトン・カーショウとともに左右のエースとして活躍した。


当初このFAはドジャースとより好条件で再契約するためのものだと思われた。あるいは同地区のライバルであるサンフランシスコ・ジャイアンツと、ドジャースを天秤にかけるためではとの声もあった。

だが現地12月4日に地元メディアは、一斉にダイヤモンドバックスとの契約を報じた。アリゾナ入りだけでも驚きだが、その中身はさらに信じられないものだった。ダイヤモンドバックスとグレインキーは6年総額2億650万ドル(約254億3000万円)の契約を結んだのだ。単純に年数で割れば1年あたり42億円、これは史上最高額だ。


ザック・グレインキー

ダイヤモンドバックスは地元テレビ局との契約で莫大な放映権料を手にし、今オフ補強のため潤沢な資金を用意していると言われてきた。それでもこの金額は普通じゃない。

グレインキーを獲得したことで、ダイヤモンドバックスに関しメディアの意見は割れた。さらに投手を獲りたいという球団関係者の発言から、前田のポスティングに参加するという説と、さすがに金銭での獲得は難しいから他球団とトレードになるという説だ。

結果は9日に出た。

■グレインキーに続き、シェルビー・ミラーも獲得

ダイヤモンドバックスは2015年のドラフト全体1位指名ダンズビー・スワンソンなど、複数の若手有望株と交換でアトランタ・ブレーブスからシェルビー・ミラーを獲得した。今シーズンは味方の援護がなく、不運も重なって防御率3.22ながら6勝17敗と負け越したが、投球の安定感は特筆すべきものがあった。援護がもらえれば勝敗が逆になってもおかしくない。


グレインキーに続き、不利な条件を飲んでまでミラーを獲得したダイヤモンドバックス。かなり本気度の高い補強をした球団が、今後さらにスターターを獲得にいくか…。事実上の撤退宣言と見るのが妥当かもしれない。

ダイヤモンドバックスが前田から降りたと見たメディアは、続いてグレインキーを逃したドジャースとジャイアンツが本命だと報道し始めた。特にジャイアンツはウィンターミーティング中の会見で、ブルース・ボウチー監督が「興味深い存在。メジャー全球団が興味をそそられるだろう」と発言したことにより、大々的に前田への関心を報じられた。


シェルビー・ミラー

だが、ここでも再び情報が錯綜し始める。

■「さっきの話は忘れてください」

サンフランシスコの地元紙『San Francisco Chronicle』が、「ジャイアンツが日本の投手、前田健太に関心を持っている」とする記事を掲載した直後、同紙の記者John Shea氏は「ジャイアンツと前田のことは忘れてください」とツイッター上でアナウンスした。


取材を重ねた結果、大きく報じられるほどジャイアンツは前田に本気でないことが分かったと言うのだ。依然としてジャイアンツは前田に関心を持っているとする声もあるが、入札の本命と言い切れるほどの根拠はない。

残るドジャースはシアトル・マリナーズから岩隈久志を獲得したが、まだ先発枠は空いている状態。ただ、岩隈と違いアメリカでの経験や実績がない前田獲得に、どこまで本気を出すかは未知数。『CBS Sports』は10日、「ドジャースはグレインキーの穴埋めとして、ジョニー・クエトに注目し始めた」と伝えている。

ニューヨーク・ヤンキースもブライアン・キャッシュマンGMが前田を高く評価しているという声がある一方、大金を積んでまで獲得することには消極的という意見がある。

前田のメジャー移籍は各球団の思惑や駆け引きが絡み合い、当初想定されたよりも先の見えない状況になってきた。
《岩藤健》

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