鹿島アントラーズのMFカイオが試合前に必ず行う髪型のセット。おそらくは国民的な流行となったラグビー日本代表・五郎丸歩の「ポーズ」に通じる、集中力を高めるためのルーティンなのだろう。
ウルトラセブンのアイスラッガーをほうふつとさせる、巨大なモヒカンに込めた想いを聞いてみる。はにかむような笑顔とともに、母国ブラジルの英雄の名前が返ってきた。
「ネイマール、です」
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カイオ
クライマックスを迎えた今シーズンの戦いにおいて、憧れの存在に近づけとばかりに、カイオのパフォーマンスがさらにまばゆい輝きを放っている。
アントラーズが通算6度目の頂点に立った、10月31日のナビスコカップ決勝。途中出場した背番号7は後半41分、電光石火のカウンターからガンバ大阪の息の根を止める3点目を叩き込んだ。
1週間後の11月7日。ホームに横浜F・マリノスを迎えたセカンドステージ第16節は、負けはもちろんのこと、引き分けてもサンフレッチェ広島の優勝が決まる正念場だった。
ここでもカイオが群を抜く存在感を放つ。4試合ぶりに先発すると前半10分に先制弾、後半19分にはダメ押し弾をゲット。キックオフ前の時点で最少失点を誇った、マリノスの堅守に風穴を開けた。
1ゴール目はカウンター。自陣から約40mをドリブルで突破していったMF遠藤康の左後方をトップスピードでフォローして、スルーパスを難しい角度から左足で叩き込んだ。
「中盤の攻防から僕たちが競り勝って、そこからカウンターを仕掛ける形になった。いい形でフリーになった僕を見てくれた味方には感謝したいし、幸いにも得点につなげることができてよかったです」
■入団2年目でゴールは二桁に到達
圧巻は2ゴール目だ。センターサークル付近でボールを受けると、柔らかいボールタッチを駆使して、間合いに入ってきたマリノスのMF三門雄大を一瞬にして置き去りにする。
そのままドリブルで攻め上がり、ペナルティーエリアの外、約20mの距離から右足を一閃。狙い澄ました一撃が、ゴール右隅に吸い込まれていった。
入団2年目で堂々の二桁に到達させるファインゴールを、カイオは自信を込めて振り返る。
「ちょうど仕掛けていったところで、相手のディフェンスラインがズルズルと下がっていってシュートコースもできた。練習通りにミートできたというか、ボールの当たりが非常によかったので、見ての通り綺麗な形のゴールとなりました」
【鹿島アントラーズ・カイオが日本代表入りを熱望する理由 続く】