■試合は悪夢をなぞる展開に
試合は1ラウンド、金網の近くでゴンガーザがテイクダウンに成功し、ラウンド終了まで上からのパウンド、隙を突いた足関節など一方的に攻める。ミルコのディフェンスは、下から相手を抱え込み、動きを止めるもの。その体勢から時おりヒジを狙っていく。
2ラウンド、ミルコは左ハイを繰り出すがかわされ、潜り込まれると一気に組み付かれる。そのままテイクダウン奪われそうだったが、金網付近でゴンガーザのヒザがミルコの下腹部に入り、レフェリーが一旦試合を止める。
再開後、ゴンガーザは至近距離で右フックを出し、そのまま片足取ってテイクダウン。下からミルコも粘るが、残り時間1分30秒以上残しマウント取られた。上からパウンドとヒジで一方的に攻めるゴンガーザと、下で堪え忍ぶミルコ。ミルコはゴンガーザのヒジで左まぶたをカット。
ゴングに救われたが、この時点でミルコを応援する人間は、嫌なものを感じていたはずだ。8年前の対戦でも、ミルコはフィニッシュとなったハイキックより、その前にグラウンドでもらったヒジが敗因だったと語っている。
8年経ってもゴンガーザのヒジに屈するのか。
誰もがミルコ圧倒的不利と感じる状況で、第3ラウンドのゴングが鳴る。
【次ページ 映画よりも映画らしい鮮やかな逆転劇】
《岩藤健》
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