また、解禁日を目指して沖縄などでの強化キャンプと沖縄県各校との試合を組んでいるところもいくつかある。こうして、3月は春の訪れとともに、一気に球春ムードになっていくのだが、特に、3月2週目の土日となった、11日と12日は全国各地で一気に試合が行われていたようだ。
全国のトップを切って、3月の3週目から春季大会の地区ブロック予選が始まり、本大会も4月1日からとなっている東京都の場合、日程の都合でどうしても早い試合が理を目指すことになる。
都心のJR山手線大塚駅から徒歩で10分ほどのところにある文京は、広くはないが何とか試合はできるくらいのグラウンドを有している。そこへ、猫の額ほどのグラウンドで日々の練習を積んでいる広尾が訪れた。11日にはどちらも今季最初となる対外試合を行った。
日程の都合で、もしかしたら第2週からいきなりブロック予選が始まることになるかもしれない…ということもあって、ブロック予選から戦うところは日程が入れづらかったという事情もあったようだ。
広尾は、現文京の梨本浩司監督が城東から2008年に異動して7年間指導したところでもある。だから、グラウンドがない状態でどう工夫していくかということにも取り組んできた。
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文京・梨本浩司監督のノック
15年から梨本監督を引き継いで後任となった広尾の平原敬大監督は、梨本流を踏襲しているが、いろいろ学ぶことも多かったという。
一昨年は、本大会へ進出したものの昨秋はブロック予選で強豪・佼成学園と当り3対10で屈している。従って、この春は一次ブロック予選からの登場となるので、早くも翌週の20日には公式戦を控えているのだ。
「どこも、なかなかこの日が空いてないということでした。そこを梨本先生の文京が試合を組んでいただけたので、非常に助かりました。ウチは、紅白戦もままならない状況のグラウンドですから、実戦でないとやれないことは、ほとんどやり切れていないという心配もありました」と平原監督は本音を漏らす。
それだけに、梨本監督に依頼しての練習試合の実現には非常に感謝しているということだ。
実は、梨本監督と平原監督は不思議な縁がある。というのも、2001年夏に快進撃を果たして2度目の甲子園出場を果たした城東を率いていたのが梨本監督。その年、東東京大会ではもう一校都立の江戸川もベスト4に進出。周囲は、「もしかして、都立同士の決勝が実現するか…」と騒がれていた。
その江戸川に1年生部員としていたのが平原監督だったのだ。そして、梨本監督率いる城東が決勝進出を果たし、自分たちが敗れた岩倉を下して甲子園出場を果たしたのを羨望の思いで見ていたのだ。
やがて、梨本監督が城東から異動した際、その後、国語科教員となった平原監督が広尾に赴任してきたのである。梨本監督の下、コーチとしてアシストしてきたという間柄でもある。それだけに、広尾の事情を知っている梨本監督が、それならば試合をやろうということになったのである。その結果、「時間の許す限りやろう」ということになり、この日は朝9時から3試合組むことになったのだ。
〈対外試合結果〉
第1試合:広尾5対4文京
第2試合:文京11対4広尾
第3試合:文京10対6広尾
ほぼ正選手同士で戦った第1試合は、文京が梨本監督期待する左腕の古田君が先発したが、広尾が試合のできる喜びを爆発させるかのように襲いかかってリード。文京が追いかけるという展開となった。
文京は5回からはエースの佐山君が投げると、広尾打線を以降9三振無安打に抑えた。梨本監督は、「ストレートはまだ走っていない」と見ていたが、スライダーを中心とした変化球の入れは十分だった。
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広尾のエース左腕・清水正士郎君
広尾のエース左腕・清水正士郎君は、小気味のいい投球で6回を2失点で抑えた。平原監督にとっては、好材料だったようだ。さらには、小泉君と、内野手から急きょ投げられる村田君も試したいと思っていたが、それもほぼできたようである。村田君は、1試合目は最後の火消しとして登板し、次の試合は2イニングだけだったが、先発してしっかりと投げた。
文京は、昨年秋は都大会に進出。初戦では東海大高輪台を下している。梨本監督はチームについて、ある程度行けるチーム力はあるのではないかと手ごたえを感じているようだ。
「今年の東東京は、もちろん関東一とか二松学舎などの私学は強いでしょうが、抜けた存在ではないと思います。それだけに、都立校でもチャンスはなくはないと思っています。あの時(2001年)になんとなく似た感じもしています。ここ(文京)は母校でもありますし、ぜひ(甲子園へ)連れていきたいんですよ」
文京は、春季大会初戦が4月3日ということも決まっている。まずは、そこを目指してチームを作っていくことになるだろう。