有明コロシアムは村田が2013年8月25日にプロデビュー戦を飾った場所だ。昨年12月30日にも世界前哨戦としてリングに立ち、次で3度目の舞台となる。プロボクサーとして戦った過去12戦中、半分の6戦が日本での対戦。自国開催はコンディションを整えやすいが、「オーディエンスはコントロールできない。あまりそこは気にせずにやりたいです」と村田は見据える。

「ただ、ミドル級のタイトル戦を日本でできるのはすごいことだと思うんです。それは周りのサポート、絶大なるサポートがなければできないこと。そこに対して感謝の気持ちを持って、頑張りたい」
4月3日の記者会見でも、まず感謝の言葉から始めた村田。ボクシングはゴングが鳴ればたったひとりで相手に挑むが、そこに至るまでの過程では多くの人々や企業が万全の試合に向けてサポート体制を整える。
最高のパフォーマンスのために、ナイキも村田にトレーニングギアなどを提供してきた。今回の世界タイトルマッチに向けては、村田の「自分を信じて、不安や恐怖心に打ち勝つ!」という言葉と想いを『BELIEVE IN TWO』 として掲げ、トレーニング時に着用するTシャツにデザインしている。








9日、報道陣に向けた公開スパーリングが帝拳ジムで実施された。コンディションについて「いいときも悪いときもありましたが、その波を越えていい状態になってきていると思います」と冷静に話す。
帝拳はスパーリングパートナーを4名集めた。その中には過去に村田が対戦したメキシコ人選手もいる。5戦目のアドリアン・ルナと12戦目のブルーノ・サンドバルだ。村田は自身のFacebookページで、次のように感謝の気持ちを記している。
ボクシングを通じて友人になったみんな(特に2人は試合もしていますし)はかけがえのない存在です
殴り合って生まれる繋がり、素敵なものです
パートナーに、そしてパートナーを用意して頂ける環境に感謝します
昨年、村田は「運と縁が見方をしてくれれば、その時はチャンピオンになる」と語った。かつての対戦相手も味方につけ、汗を流してきた。その成果が実ったときにチャンピオンベルトという“縁”がやってくるのだろう。
「どうなんでしょうね。やるべきことはやっていると思う。今日もこうやってハードなトレーニングをやってますが、結局可能性を高めることでしかないわけですよね。確定してくれるものじゃないので、トレーニングというのは。こうやってすることによって、その可能性を高めているとは思います。後は、言うように結果論ですから」
決してビッグマウスにはならず、目標に向かって、ひたむきに突き進んできた。20日に村田はどんな結果を私たちに見せてくれるのか。

(R7に続く)
●村田諒太(むらた りょうた)
1986年1月12日生まれ、奈良市出身。帝拳プロモーション所属。2012年にロンドン五輪ボクシングミドル級で金メダルを獲得して脚光を浴びる。アマチュア時代の成績は137戦118勝89KO・RSC19敗。2013年8月にプロデビュー。以降、2016年12月のブルーノ・サンドバル戦まで12戦全勝(9KO)。
取材協力:ナイキジャパン