国際大会ではベテランの存在が必要不可欠だ。特に内野陣に精神的主柱となるようなベテランがひとりでもいると心強い。
このような例がある。2016年のシーズンを迎えるにあたって、それまで主に左翼を守っていた内川聖一(ソフトバンク)が一塁手にコンバートされることになり、同チームの三塁手・松田宣浩は「内川さんが内野に来てくれると心強い。声も出してくれるし、内野陣に好影響を与えると思う」と語っていた。
内川といえば第2回WBCでは打撃でも守備でも連覇に大きく貢献し、ベスト4入りの第3回WBCでも主軸を担った。常勝チームのソフトバンクではシーズンを通して四番に座り、今季も3割をマークし100打点以上を稼いだ。ケガの影響によりプレミア12への出場は辞退していたが、国際大会の経験の豊富さと驚異的な勝負強さは武器になるだろう。
また、ベテランという観点でみれば、広島のリーグ優勝に大きく貢献した新井貴浩もいる。勝負強い打撃であわや打点王になるかという活躍を見せ、チームメートの黒田博樹とともに広島を牽引した。北京五輪で四番を任された経験やWBCへの出場経験も豊富で、明るいキャラクターからムードメーカーとしての役割も担える。
正一塁手を考えれば、小久保監督のこれまでの起用法から中田翔(日本ハム)が一番手と想定されるが、打撃の好不調に波があり、プレミア12の時のような神がかった活躍ができるとは限らない。そういった意味合いからもベテランの存在は重要だ。
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中田翔 (c) Getty Images
第3回WBCに内野手として招集され、当初は控え選手ながらも、第1ラウンドの台湾戦で起死回生の同点適時打を放ち、その後レギュラーとして抜擢されチームを支えた井端弘和(当時中日)の存在を思い出してほしい。ベテランの一打はチームの流れを変える。
前述した選手の今季の成績は以下の通り。
内川聖一(ソフトバンク)打率.304/本塁打18/打点106/盗塁3
新井貴浩(広島)打率.300/本塁打19/打点101/盗塁0
中田翔(日本ハム)打率.250/本塁打25/打点110/盗塁2
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