アービングは1992年生まれの25歳。米国東部にあるオハイオ州クリーブランド市を本拠地とするクリーブランド・キャバリアーズに所属する。ポジションはポイントガード(PG)だ。
米デューク大学を卒業後、2011年にキャバリアーズがドラフト1位で指名するとプロバスケットボールプレイヤーとしての人生が幕を開けた。持ち合わせた才能をすぐに発揮し、プロ1年目の2011-12シーズンにルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞。それから瞬く間にNBAトッププレイヤーの階段を登っていった。
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想像することが自分のプレーにつながる
オーストラリアのプロバスケットボール界に所属した経歴のある父ドレデリックにバスケットボールを教えてもらった。アービングが4歳のときに母エリザベスは他界したが、ボールを投げてくれる父があらゆる面で背中を押すようになった。
父のサポートを受けながらも、12歳ごろには自分の力で運命を切り開くようになったという。アービングは自分自身を「エキサイティングで面白い選手」と答える。
「やる気と情熱を持って、パフォーマンスも良くできるようにしています。何時間もジムで練習するのはすべてファンのため、しっかりとプレーを観てもらうためです」
試合の土壇場でポイントを決めて勝利をもたらすクラッチプレイヤーとして高い評価を得ているが、そこで必要となる強靭なメンタルも練習のたまものだ。「どこからその強さが来るのか?」と質問すると笑いながら教えてくれた。
「すごくすごくすごく、すごくすごくすごく(笑)、何時間もジムで練習をすることで体と心の準備を整えることです。私は想像力がとても豊かだと思うのですが、状況のことを常に思い描いています。それが現実になったらまるでデジャビュのように、その場面は想定済みといった感じですね」
未来をあらかじめ見据えることで「自分らしいプレーにつながっていく」という。
ナイキがシグネチャーシリーズを用意
アービングはナイキのシグネチャーアスリートだ。同社に認められた一部の選手のみに作られる、選手の名を冠した特別なシューズ『シグネチャーシリーズ』が展開されている。アービングはファーストネームを取った『カイリー』シリーズが、これまでに3モデル発売された。カラーバリエーションも豊富で絶大な支持を得ている。
『カイリー』シリーズはアービングがあらゆるディテールに目を配り、多くの時間を割いたこだわりが反映されている。
「自分もスニーカーカルチャーの中で育ってきましたし、ファッションの面で考えても、それを象徴するようなシューズにしたいんです。ナイキブランドらしさを象徴するようなシューズにしたい。この中にはいろんなストーリーが盛り込まれているのです。人によって物語は違いますが、つながりを感じられるものではないかと思います。それがみんなになじみ深いものになるかなと思います」
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シグネチャーシリーズ3作目『カイリー 3』のソール(靴底)に、アービングの物語はさりげなくデザインされていた。
「娘のアズーリ(AZURIE)の名前が入っています。それが私のお気に入りで、誇りに思っています。娘が大きくなったらこれを見て、父親がこれを履いていたことを思ってくれるかな」
目立つアッパー(上部)ではなく、ソールに刻まれた愛娘の名前。11月で2歳になるアズーリ・エリザベス・アービングちゃんの名前には、亡き母エリザベス(ELIZABETH)の名前がミドルネームで入っている。シグネチャーシリーズ1作目『カイリー1』のソールにも母の名前があった。カイリー3では「AZURIE」「ELIZABETH」がカイリーロゴを囲んでいる。
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「自分自身を愛することを学んで」
家族を大切にするアービング。オフも家族と過ごす時間を大事にしており、「ひとりでいることもあるけど、自分のやったことを伝えたいし、家族とどこかに行って観光して過ごしたりするのも楽しいですね」と表情をゆるめる。
彼の口からは何度も「愛」という言葉が出てくる。人の強さについて語るときも、「人の強さというのは他の人を励ませる力を持つか、愛を与えられるかだと思います。自分らしく人に愛情を注ぐことができるか」と強調する。
「私はリーダー的な立場でもあるので、その意識を持って若い人たちにも知識を分け与えたい。経験をシェアすることが大事です。まだまだ世界の人たちとつながることができる可能性があるので、それをいかして伝えたいです」
今回のアジアツアーでは東京の他に、台北、北京と計3カ所を訪問した。各都市で歓迎される一方で、新しいカルチャーを経験していった。
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試合以外でもエンターテイナーとして盛り上げる姿勢は、多くのファンの心をつかんだ。そんな彼が世界に伝えたいメッセージはシンプルだ。
「自分を愛してください。自分自身を愛することを学んでほしいです。それができたら次は人を愛してください。みんな愛が必要だと思うし、人生は世界中の人とつながってます」
最後に、小柄な選手も多い日本人プレイヤーがより上達するために必要なことを尋ねると、「私もNBAではそんなに大きい選手ではないのですが、アドバイスできるとしたら…」と前置きして言葉をつないだ。
「やはり自分の夢にすべてを注ぎこめるか、ということが大事だと思います。夢に向かって100%努力することです。振り返らずに前を向いて、目を大きく開いて新しい経験をすることです」
●カイリー・アービング(Kyrie Irving)
1992年3月23日生まれ、オーストラリア出身。クリーブランド・キャバリアーズ所属。身長6フィート3インチ(約190cm)。2011-12年シーズンNBA新人王、2014年NBAオールスターゲームMVP受賞。2016年リオデジャネイロ五輪に米国代表メンバーとして男子バスケットボールに出場、金メダルを獲得。2017年7月に初来日し、スペシャルイベント『CLUTCH BUCKET(クラッチバケット) 東京』などに参加した。
●ナイキ カイリー 3
独立して機能するトラクションポッド、シューレースと連動する前足部のバンド、曲線的なアウトソール、かかとのズームエアユニットが特徴のカイリー・アービングの3作目となるシグネチャーシリーズ。ホワイト×ゴールドバージョンは初来日を記念して発売。サイズ展開は25~29,30,31cm。1万6200円(税込み)。
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— NikeStoreJapan (@NikeStoreJapan) 2017年7月20日
取材協力:ナイキジャパン