実業団で輝く10代最速ランナー遠藤日向…目指すは東京五輪 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

実業団で輝く10代最速ランナー遠藤日向…目指すは東京五輪

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実業団で輝く10代最速ランナー遠藤日向…目指すは東京五輪
  • 実業団で輝く10代最速ランナー遠藤日向…目指すは東京五輪
  • 住友電工陸上競技部の遠藤日向(2017年6月25日)
  • 住友電工陸上競技部の遠藤日向(2017年6月25日)
  • 第101回日本陸上競技選手権大会男子1500m決勝(2017年6月24日)
実業団ランナーになって最初の日本選手権は2位に終わった。

「2位でも負けは負け。満足はしていないので、もっと上を目指したいです」

6月24日に行われた第101回日本陸上競技選手権大会男子1500m決勝。遠藤日向(ひゅうが)はゴール後に悔しがった。

福島出身の18歳は、小学校6年生から始めた陸上競技で瞬く間に成長を遂げる。地元の学法石川高に進学後は1年時に国民体育大会少年男子B(中3・高1)男子3000mでの優勝を皮切りに、着実に存在感を示すようになった。

高校2・3年生を対象にした国民体育大会少年男子A5000mでは二連覇を達成。また、高校3年で3000mの日本高校記録7分59秒18を打ち立てるなど快進撃を続けた。

住友電工陸上競技部の遠藤日向選手

日本の高校陸上界で注目を集めたランナーは、大学に進学して箱根駅伝を目指すことも多いが、遠藤が選んだのは実業団だ。2011年に早稲田大を箱根駅伝18年振りの総合優勝に導き大学駅伝三冠を達成、大迫傑(すぐる、ナイキ・オレゴン・プロジェクト)ら国内トップ選手を育てた名将・渡辺康幸監督が2015年から率いる住友電工陸上競技部に進む。

理由は2020年の東京五輪。2015年世界ユース選手権(3000m/5位入賞)、2016年U20世界選手権(5000m/13位)と大舞台を経験した遠藤が「世界」を意識するのは自然のことだろう。

「東京オリンピックは5000mで出たいと思っています」と目を輝かせる。

しかし日本選手権では、今年の箱根駅伝往路5区を走った東海大2年の館澤亨次に逃げ切られた。

「館澤さんを最初からマークしていて、気にしすぎてレース運びが下手で…。ペースアップのときにみんながポジション取りで前の方に行くのに、そこで後退してしまいました」

日本選手権男子1500mで遠藤日向選手(右から2番目)は2位。前を走る東海大の館澤亨次選手には届かなかった。

残り1000mで追い上げた際に体力を使い、最後にもう一段速度を上げることができなかった。予想以上にスローペースでレースが進んだこともあり、ポジション取りの難しさも感じた。

「ラスト100mでもう1回ギアを上げることができていたら、もう少し接戦で終えられたと思います。(残り200mで仕掛けた館澤の)横に並ぶこともできずに終わってしまいました」

昨年は4位だったため「今年表彰台に上れたことは嬉しかったですけど…」と語るが、ラストスパートを得意とする遠藤だけに、最後の最後で競り合えなかった悔しさで声も小さくなる。


社会人1年目。高校時代とは違い、チームでは自主性も重んじられる。朝と夕方の二部練習がしっかり行われていた学法石川と、午後の練習は自主性に任せる住友電工。「自分でやる」ことの難しさにはなかなか慣れない。

「まだまだ自分は(自主練習を)組み立てられなくて、監督に考えてもらったものをやっている感じ。もっと上を目指すのなら、この練習は何のためにやるのかということをわかった上で組み立てて、このレースはこの記録で走るなど考えられるようになりたいです」

日本選手権では予選で1500mの自己ベスト(3分42秒98)をマーク。今年の目標に掲げる3分41秒台には届かなかったが、スピードが強化されていることに手応えを感じ「しっかり結果につながった」と胸をなでおろす。



兄の影響で陸上を始めて7年。「日頃の練習はキツいのですが、こういう場で結果が出て、みんなに祝福されるとやってきて良かったなと思います」とはにかみ、次のレースを見据えた。

日本選手権から2週間が過ぎた7月9日、遠藤は北海道で開催されたホクレン・ディスタンスチャレンジ2017第3戦北見大会で男子3000mに出場。「今シーズンのベストが出せればいいかな」と笑っていたが、自己ベストとなる7分54秒79で走り抜けた。優勝した鎧坂哲哉(旭化成)の7分52秒70には一歩およばず3位となったが、U20(20歳以下)の日本新記録になった。13日の第4戦網走大会は男子5000mを走る。

着実に力をつけていく。その視線の先には東京五輪が待っている。


●遠藤日向(えんどう ひゅうが)
1998年8月5日生まれ、福島県出身。2017年4月より住友電工陸上競技部所属。郡山第四中3年の2013年に全日本中学校陸上競技選手権大会男子3000mで優勝。学法石川高に進学し、インターハイは2015年に男子5000m3位(日本人1位)、2016年に男子1500m優勝、男子5000m3位(日本人1位)。国民体育大会は2014年に少年男子B3000m、2015年・16年に少年男子A5000mで優勝。高校3年で3000mの日本高校記録となる7分59秒18をマークした。

取材協力:ナイキジャパン
《五味渕秀行》

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