北九州市で生まれ、福岡で育った。小学生のときに偶然にもレベルファイブスタジアムへ足を運び、初めて目の前で見たプロの試合がアビスパ戦だった。
アビスパへの入団が内定したのは昨年5月。年代別の日本代表とも無縁だった田村のサッカー人生は、その年のオフに就任した井原監督と出会い、自身が最も輝ける場所を見つけたことで劇的に変わった。
■田村の存在がアビスパの新たな武器に
「J1に昇格させた?どうでしょうかね。自分の力で上げた、という実感がないから。前線の人がゴールを決めてくれたおかげだと思っているので」
セレッソ戦後には謙遜しながら照れ笑いを繰り返したが、ケガ人が続出していた最終ラインに高さと強さ、そして上手さをもたらし、レベルをワンランク引き上げた軌跡にはもっと胸を張っていい。
もっとも、福岡大の乾監督は田村にはもうひとつのストロングポイントがあると期待していた。
「前線に上がったときには得点力もある」
J1昇格プレーオフを含めて、ルーキーイヤーは公式戦20試合に先発。そのうち19試合でフル出場したものの、ゴールネットを揺らしたことはない。
レベルが上がるJ1の舞台では、セットプレーがさらに重要になってくる。つまり、田村の存在がアビスパの新たな武器になる。
恩師のエールを証明する戦いへ向けて、田村はつかの間のオフで鋭気を養っている。
《藤江直人》
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