【THE REAL】ガンバ大阪の下剋上を導いた知性と感性…MF遠藤保仁が稀代のプレーメーカーと呼ばれるゆえん 3ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】ガンバ大阪の下剋上を導いた知性と感性…MF遠藤保仁が稀代のプレーメーカーと呼ばれるゆえん

オピニオン コラム
遠藤保仁 参考画像(2015年10月21日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年10月21日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年10月21日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年2月24日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年10月21日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年5月27日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年3月3日)
  • 遠藤保仁 参考画像(2015年9月16日)
無冠のままシーズンのクライマックスを迎えているガンバだが、遠藤自身は昨シーズンまでにはなかった手応えを感じている。それはレッズとの死闘で、はっきりと輪郭を帯びてきたという。

「こういう試合で動じなくなったのは、間違いないと思いますけどね。ACLでもグループリーグで敗退するぎりぎりの状態からはい上がって、あそこまでいくことができた。一概にどこが(強くなった)とは言えませんけど、自分たちのサッカーをすれば勝ち切るという自信はありますね」



後半開始直後に先制しながらセットプレーで追いつかれ、終了間際にはレッズMF武藤雄樹のヘディング弾が東口の手とゴールバーに弾かれて九死に一生を得た。延長戦に入る直前。円陣のなかで長谷川健太監督が吠えた。

「ここにいる全員でガンバの力を示す。絶対に勝つ!」

まさかのJ2で戦うことを余儀なくされた2013年シーズン。それまでは攻撃に先鋭し、試合展開によっては淡泊さも同居させていたガンバに、就任1年目の長谷川監督は泥臭いまでの守備の意識を注入した。

マン・オブ・ザ・マッチを獲得した東口が魅せた、再三にわたるビッグセーブだけではない。シュートブロックや球際の攻防で文字通り体を張り続けたからこそ、ファーストステージを無敗で制し、年間総合順位でも2位に入ったレッズ相手に下剋上を演じることができた。

もっとも、劇的な勝利の余韻に浸るのも一瞬だけ。海外にも配信され、話題を呼んでいる藤春のゴールに至るまでの軌跡では、ガンバにも「緩み」があったと遠藤は気を引き締める。

「丹羽がボールをもった時点でもっとサポートしていれば、あんなプレーは生まれなかった。そのへんは僕たちの悪い部分として修正していかないと。結果論でしか物事を言っていないようですけど、あの場面でのバックパスというものをできる限り減らしていかないと」

一発勝負だった準決勝から一転、ホーム&アウェーで争われる決勝ではサンフレッチェと対戦する。シードされた関係で中9日と休養十分の年間総合1位に対し、ガンバは延長を含めた120分間の死闘から中3日というハンデを抱える。

決勝を見すえる遠藤の口調は、いつものように抑揚がなく淡々としている。飄々とした立ち居振る舞いも変わらないが、ときおり飛び出す単語からは絶対の自信と強い決意が伝わってくる。



「年間3位からスタートしている僕らはチャレンジャーですけど、やってきたことに間違いはないですし、間違っていないからこそここまでの結果を出せていると自信をもって言える。今日はどちらが勝ってもおかしくないゲームだったけれども、もっと手堅く、しっかりと勝てるようになれば、またひとつ上のレベルへ行けるんじゃないかと」

12月2日に行われる決勝第1戦の舞台は、ホームの万博競技場。来シーズンからは新設された吹田スタジアムをホームとするため、23年間戦ってきたピッチにおける公式戦は、12月26日の天皇杯準々決勝を含めた2戦となった。

「攻守両面で安定した戦いを見せるためにも、さらなるハードワークが必要かな。次まで時間がないので、いい結果を出せるように、最善の準備を積んでチーム一丸となって戦いたい」

体に巣食った疲労感は、さらに大きな下剋上を演じられる権利を得たことで芽生えるモチベーションで吹き飛ばせばいい。知性と感性を同居させる稀代のプレーメーカーは充実感を漂わせながら、運命のキックオフを待つ。
《藤江直人》

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