【THE REAL】中田英寿以来のA代表戦出場へ…湘南ベルマーレの若大将・遠藤航が歩むロシアW杯への道 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】中田英寿以来のA代表戦出場へ…湘南ベルマーレの若大将・遠藤航が歩むロシアW杯への道

オピニオン コラム
遠藤航 2015年3月(c)Getty Images
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ベルマーレでの主戦場である3バックの右ではボール奪取から積極果敢に攻め上がり、ビルドアップに加わっていく。今シーズンはPKのキッカーも託されて3得点をマーク。3月14日の鹿島アントラーズ戦の後半アディショナルタイムには、攻撃参加から絶妙なクロスを送って劇的な逆転勝利をアシストした。

3バックの真ん中や4バックのセンターバックでは、カバーリングとボールを奪ってから素早く縦パスを入れる意識を強くもつ。球際での強さや縦パスはハリルジャパンでも求められるだけに、遠藤は早くも「そこは自分の特徴なので、臆すことなく出していきたい」と腕をぶす。

ボランチやアンカーでは相手のボールホルダーの潰し役と中央からゴールに絡んでいくプレーを、ベルマーレで試合途中から時々任せられる前線のシャドーではボールを収めて攻撃の起点になることを心掛けている。

まさにマルチな活躍ぶりに、充実した表情を浮かべながらこんな言葉を残したこともあった。

「いろいろなポジションを任されることは、成長していく上で自分にとってもプラスになるとポジティブにとらえている。任されたポジションによって、自分のよさの引き出しというものを変えられる選手になる、ということを意識していきたい。自分の中でもそういうふうにしたほうが面白いし、いまのサッカーはいろいろなプレーを求められるようになってきているので」





■ミスに対する学習能力の高さ

もちろんミスも犯す。今シーズンのベルマーレでは、前のめりに攻め上がった背後を突かれて失点を重ねた時期もあった。それでも決して下を向くことなく、ミスや失点を成長への糧に変えてきたその姿勢に、ベルマーレを率いるチョウ・キジェ監督も厚い信頼を寄せている。

「彼の一番いいところは、ミスに対する学習能力の高さ。ミスを引きずらず、試合のなかで整理していく力はJ1の選手のなかでも頭抜けているんじゃないかな」

中国・武漢で開催される今回の東アジアカップで、ハリルジャパンは8月2日に北朝鮮、5日に韓国、9日には地元の大声援を受ける中国と対戦する。いずれも国際Aマッチーではないため、海外組を招集しないことは既定路線でもあった。

だからこそ、初めての招集に浮かれることなく、遠藤はしっかりと足元を見つめている。

「個人としてはスタートラインに立ったにすぎないし、プロサッカー選手として、もっともっと上にいくためには常に努力していかなければいけないと思っている。ただ、チャンスというのは何度も与えられるものでもないので、試合に出られるチャンスは絶対にモノにしていきたい」

東京・文京区のJFAハウスで23日午後4時から記者会見に臨んだバヒド・ハリルホジッチ監督は、9月に行われるワールドカップ・アジア2次予選のカンボジア代表戦(3日)、アフガニスタン戦(8日)をにらみながら、今回の東アジアカップをこう位置づけた。

「次のA代表合宿に国内組の誰を呼ぶのか。その見極めの場としたい」

その上でリオデジャネイロ世代から招集した遠藤とFW浅野拓磨(サンフレッチェ広島)へ、こんな檄を飛ばした。

「若いから、パワーがあるからという理由だけでは呼ばない。彼らのクオリティーの高さを見せつける時期だというメッセージを彼らには送りたい。A代表に値する資格があることを示してほしい」

くしくも同じ23日に、リオデジャネイロオリンピック出場をかけたアジア最終予選を兼ねるAFC U-23選手権の組み合わせ抽選会が、9月12日にカタールの首都ドーハで行われることが決まった。

来年1月にカタールで開催されるAFC U-23選手権には、この世代で最強とされるイラクをはじめ、オーストラリア、韓国、ウズベキスタンなど16カ国が集結。3枚のオリンピック切符を争う戦いは、間違いなく熾烈を極める。

■リオ世代の底上げを担う

リオデジャネイロ世代の精神的な支柱として、遠藤はかねてからこんな言葉も口にしてきた。

「何人かがA代表へ入ることによって、自分たちのリオ世代の底上げにもつながると思う」

日本サッカー協会は今後、リオデジャネイロ世代の強化策として月例で強化キャンプや強化試合を行っていく方針を固めた。東アジアカップでハリルホジッチ監督に見染められればワールドカップ・ロシア大会を目指すA代表の肩書が本格的に加わり、22歳にして副キャプテンを務めるベルマーレでのプレーを含めて、文字通り八面六臂の活躍を求められる。

さらなる飛躍へのきっかけとなるであろう今回の初招集へ、遠藤はあらためて感謝の思いを口にした。

「もちろん僕だけの力ではない。ベルマーレをはじめ、小学校や中学校の顧問の先生、高校の担任の先生、家族やサポーターの皆さんなど、いままでお世話になった方々の支えがあったからこそだと思っています」

サポーターから「若大将」というニックネームとともに愛される、育成組織生え抜きの22歳の存在感は、梅雨明けとともに暑くなる真夏の太陽のようにますますヒートアップしていく。
《藤江直人》

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