■MVP候補になる
「気持ちでも団結力でも負けるつもりはなかったんですけど、とにかく迫力がすごかった。高さではかなわないので、私たちも速いパスなどの質を上げていけば、アメリカのような形で点を取れると思いました。そういう場面を増やしていけるように、アメリカを逆に見習いたい」
帰国後に成田市内のホテルで行われたメディア対応の場でも、宮間や6大会連続のワールドカップ出場という偉業を成し遂げたMF澤穂希(INAC神戸レオネッサ)と並んで大勢の報道陣から質問を受けた。
「(MVP候補は)あり得ないと思っていました。ノミネートされたことは本当に光栄ですけど、私はまだまだそんなところに立てるような選手ではないので…。ただ、次へしっかりとつなげる責任があるし、そうやって見られることで成長することもできると思うので」
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有吉佐織
一連の有吉のコメントから伝わってくるのは「頭を垂れる稲穂」、どこまでも謙虚な姿勢だ。世界一を決める舞台で魅せた輝きにも決して浮き足立つことなく、自分自身の現在位置と進むべき道をしっかりと見つめている。シンデレラになった気持ちなのでは、と問われても常に同じ言葉が返ってくる。
「すごくいい経験をさせていただきました」
初々しさを失わず、それでいて明るく振る舞う姿に再び森監督が目を細める。
「上の選手からも下の選手からも好かれていますよ。ようやく花を咲かせたというのに、それでも謙虚でしょう。有吉のような子がこのようにして表に出てくるのは、指導者として嬉しい限りですよね」
【有吉佐織がなでしこジャパンで光り輝いた理由 続く】