次の瞬間、弧を描くように左側へ急旋回しながら、宇佐美は自問自答を繰り返していた。
「あそこから(シュートに)いけたんですね。あのまま自分で突破していって、相手キーパーと1対1になるくらいのところまでもいけたと思うし、オカちゃん(岡崎)もフリーだったので悩みました。いずれにしてもしっかりとフィニッシュまでいけましたし、いいパスを出せたというか、いいところに仕掛けられたと思います。ああいうプレーを見せられれば、武器になりますよね」
■ゴールの確率が最も高い選択肢を実践
ペナルティーエリアの外側からミドルシュートを放つのか。あるいは、さらにドリブルを加速させて完全にフリーの状態にもち込むのか。さらには、自らをおとりに使って、岡崎へラストパスを通すのか。ゴールの確率が最も高い選択肢として、宇佐美は最後の3つ目を実践した。

宇佐美貴史
ノーモーションのまま右足の軽いタッチから放たれた岡崎へのパスに、イラクの守備陣はまったく反応できない。岡崎は左側へ流れながら、体勢をしっかりと整えて左足を一閃する。必死に反応したゴールキーパーの左手に触れたものの、シュートは確実にゴールへ吸い込まれていった。
バヒド・ハリルホジッチ監督の初陣となった、3月27日のチュニジア代表戦で念願の初キャップを獲得。デビュー戦で18分間、初ゴールも決めた同31日のウズベキスタン代表戦では27分間。途中出場でのプレーを積み重ねて指揮官の信頼を勝ち取り、ついに初先発のチャンスを得た。
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