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【THE REAL】27歳の遅咲きゴールキーパー・秋元陽太…湘南ベルマーレの赤丸急上昇

オピニオン コラム
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出場機会を求めて慣れ親しんだマリノスを飛び出し、愛媛FCへ完全移籍したのが2012年シーズン。フィールドプレーヤーよりも長いキーパーの選手寿命を考えたときに、翌シーズンからJ1へ昇格するベルマーレではなく、J2でさらに力を蓄えるべきだと判断したのだろう。

■2年続けて湘南ベルマーレからオファーが届く

2013年も愛媛FCで41試合に先発フル出場。さらなる飛躍の時期だと思い描いていたときに、ベルマーレから2年続けてオファーが届いた。もう断る理由はなかった。

「J2のなかでも愛媛はけっこう攻められていたんですけど、秋元は常にしっかりとプレーしていた。シュートストップがいいし、勇気があって、キックの技術も高い。ハイボールに対する課題はありましたけど、存在感というものを評価して声をかけ続けました」

大倉社長の期待通りに、秋元は新天地ベルマーレに移った2014年シーズンも全42試合に先発フル出場。攻守両面でJ2戦線を制圧したチームに最後尾から安心感を与え、J1への挑戦権をつかみ取った。

もっとも、4シーズンぶりとなるJ1のゴールマウスに立つまでにはひとつの試練があった。開幕へ向けて行われたトルコキャンプ。強豪チームとの練習試合で、秋元は幾度となく先発から外されている。

何がいけないのかと尋ねた眞壁潔会長に対して、チョウ・キジェ監督はこんな言葉を返したという。

「オレが第1キーパーだという、まったりとした雰囲気を出していたんですよ」

再び指揮官の信頼を取り戻し、幕を開けたJ1の戦いでは強烈な洗礼を浴び続けた。浦和レッズ、ガンバ大阪、古巣のマリノス、そして名古屋グランパスに複数失点を献上。特にレッズとの開幕戦では前へ飛び出しながらボールに触ることができず、同点ゴールを許したプレーがネット上で批判の対象となった。

4ゴールを奪って快勝したサガン鳥栖戦でも2失点を許すなど、画竜点睛を欠く試合内容に唇をかんだこともある。もっとも、J1という荒波は覚悟の上。失点禍の前に叩きのめされることはなかった。

「キーパーとして失点という部分にはもちろん責任を感じているけど、僕はチームのためにどれだけ仕事ができるかだと常に思ってきた。プレーの精度という部分ではすべて劣っているし、チームとともに成長してけるように、自分のなかで課題を意識しながら試合に臨む姿勢というものはずっと変わっていない。確かに課題は多いけど、この時間帯に失点してはいけないという共通意識や、前がかりになったときのリスクマネジメントができてきたという点で、経験はしっかりと生かされていると思う」

ひとつしかないポジションを争う、ライバルたちへの感謝の思いを胸に刻むアクシデントもあった。

《藤江直人》

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