尖浅間から宝篋山への縦走路は、緩やかなアップダウンが続く。息が上がり過ぎない程度の道のりで、歩いていて心地が良い。宝篋山名物のひとつであるバイオトイレが見えたら、頂上はすぐそこだ。
◆宝篋山頂は、筑波山を眺めるベストスポット
宝篋山の山頂は、いろいろと「整っている」。見晴らしの良い展望と広い休憩スペースにベンチ。頂上という場所でゆっくりと寛ぐことができるのは嬉しい。
頂上に到着するやいなや、とある場所に設けられたベンチを探した。そのベンチからは、筑波山の雄大な姿を眺めることができる。ここで休憩をしながら、筑波山をボーッと眺めるのが、宝篋山登山の一番の楽しみだ。何より、この場所からの筑波山の眺望が素晴らしい。山との距離が、近過ぎず、遠過ぎず、抜群の距離感で山を見ることができる。
周囲の田には水が張られ、まるで鏡で覆われているよう。そこから二つの山頂を頂点とした稜線が、きれいに伸びている。田園地帯にでんとそびえる双耳峰の姿は、周囲の景色と一体化しているようにも見えるし、逆に不自然さも感じさせる。その姿の美しさに感動し、同時に恐怖心を覚える。
一体感と違和感、感動と恐怖。自然が見せる偉大さは、人に様々な感情を抱かせるようだ。この不思議な感情は、心の中をキレイに掃除してくれるように思う。事実、筆者の心の中にあるモヤを、キレイサッパリと取り払ってくれた。
◆低山ハイクの魅力を再確認
僅かな時間を惜しまなければ、僅かな危険に注意すれば、「日常」では見られない景色と感動が味わえる。この手軽さこそが、低山ハイクの魅力である。それは、遠くを旅したり、高い山に登ったりするような「非日常」的な感覚とまではいかないが、「日常」を違う角度から眺める感覚。普段見慣れた風景も、普段よりもちょっと高い場所に登れば、心を動かすような風景に変わるのだ。
《久米成佳》
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