【津々見友彦の6輪生活】超遠距離、高速移動中でもクリアな音声で会話「ボンクスグリップ」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【津々見友彦の6輪生活】超遠距離、高速移動中でもクリアな音声で会話「ボンクスグリップ」

オピニオン コラム
BONX Grip(ボンクスグリップ)
  • BONX Grip(ボンクスグリップ)
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仲間とのロングライドは楽しい。きつい登りも皆で歯を食いしばって、励ましあって登れば何とかこなせる。 ただし、いつも全員が近くに居るとは限らない。

自転車の場合、スピードが速いので先頭と最後尾の距離が簡単に離れてしまう。ある時は友人と二人でロングライドに出た時、チェーントラブルで遅れてしまった。

東北の海岸近くの町での出来事だった。友人は一足先に町に入り先行。すると、わずかな時間に関わらず、探し回るがもう見つからない。あたりをぐるぐる回っても合流できず、結局携帯電話でやっと連絡がついて出会えた。

たった二人のツーリングにも関わらず、はぐれたのは一度や二度ではない。なので、特定小電力の無線機を使ったことがある。が、結局止めてしまった。

(1)通信距離が短い。ほとんど、見通し距離程度しか使えない。
(2)その都度マイクスイッチを押すため、ハンドルバーから手を離さなければならない。
(3)少しでもスピードが出たり、風が強いと、音が割れてよく聞き取れない。
などの、理由だ。


■アウトドアスポーツ無線の決定版、こんなの欲しかった!

そこで発見したのがBONX Grip(ボンクスグリップ)だ。スノーボーダーだった株式会社BONXのCEO宮坂貴大氏が仲間と滑りながらコミュニケーションするのに開発したもの。

アウトドアスポーツ無線の決定版

優秀なプロェッショナル仲間を集めて開発。クラウドファンディングで2千500万円以上を集めて作り上げたものだ。


(基本構成)
イヤフォン、マイク本体、iPhone、Androidなどスマートフォン

仕組みとしてはまず、無料のBONXアプリをインストール。iPhone/AndroidなどとBONX Gripはブルートゥースで接続。そしてスマートフォン間は、パケット通信で交信する。

つまり、パケ放題などのパケット契約をしていれば、それ以上の費用は不要だ。(契約パケット数を超えると当然その分課金されるが)もちろん免許も不要。SkypeやLINEなどの音声通信と同じように使えるのだ。


(BONX Gripの特徴)
(1) ノイズキャンセリングのため、風の影響を受けずに話せる
(2) 話したいときに、話すだけで通話が開始する。スイッチ操作不要
(3) 話さないときには自動的に通信が停止される
(4) スマートフォンの電波がある限り、通信距離は無限
(5) 最大10人での通話が可能
(6) 仲間が会話に加わったり、出たりなどの情報は音声ガイドで確認できる
(7) シンプルなスイッチ操作。手袋使用でも操作可能
(8) スマートフォンの電波が必須
(9) カラーは、黒/白/緑/ピンク


■フィット感の良いBONX Gripのイヤフォン
イヤーキャップ(シリコン製、サイズはS/Mの2種類)と呼ぶ耳穴用のピースが選べる。優れているのは、このイヤピースは耳穴を完全に塞がないように三角形のような形で、必ず外部の音も聞こえる仕掛けとなっている。完全に外部の音を遮断しないので、自分の声がこもらず自然に話せる。

2種類のサイズから選べるイヤーキャップ

■BONX Gripイヤフォン本体をシリコン製のイヤーループにはめ込む
イヤーループのサイズはS/M/Lの3種類があり、それだけ耳へのフィット感がとても良い。コーナーで横Gが出るとイヤフォンは普通外れそうになるのだが、このイヤーループがしっかりと耳に絡み外れにくく、更にイヤーキャップのデザインもひと工夫されているので、一層フィット性が高い。(ただし、私はネックウォーマーを外す際に取れてしまったので、念のためにひもをつけ首からぶら下げている。これなら絶対安心だ)

ちなみに現在は右耳用のみ、将来は左用も用意されるとのこと。

■操作はシンプル
最初に、iPhoneなどでBONXアプリを立ち上げる。イヤフォン本体の内蓋を開き、メインスイッチを押す。iPhoneでブルートゥースで接続を確認。BONX GripイヤフォンがiPhoneと接続されアプリがスタンバイしていると、iPhoneの初期画面の下にBONXのアイコンが表示される。

■BONXアプリの操作
アプリが立ち上がり、すでにBONXのユーザーがいれば表示される。そのユーザーをタップすると「通話」のサインが出るので、「通話」をタップ。すると、相手にこちらのグループから呼びかけていることが送信される。相手は「応答」または「拒否」のどちらかをタップ。
グループでトーク中

相手は「応答」または「拒否」のどちらかをタップ

「応答」をタップすると、こちらには「Aがグループに入りました」とアナウンスがあり、その後フツーにしゃべるだけ。ミュートボタンを押すと、押した方の声は相手には届かない。シンプルで使いやすい。

■快適な操作性
一度接続したら後は話すだけ。話すと自動的に通信が開始される。もし、相手に聞かれたくないとき、例えばお店に入ったりした時にはBONX Gripイヤフォンの本体中央部の丸い大型スイッチを1秒長押しで「マイクミュート」となり、相手には聞こえなくなる。再開はもう一度押すだけ。

その後方にある小さな丸いボタンは一回押すごとに7段階のボリュームが変えられ、ピッと言う音の大きさで音量がわかる。音量アップから、音量ダウンまで、このひとつのスイッチで変化する。

厚手の手袋をはめていても使え、開発者がスノーボーダーだったこともあり、実際のフィールドでの使い勝手がとても良い。

■抜群の使いやすさ。風切りノイズのない会話
バイクで走行中、有難いのは風切り音のノイズが全くないこと。60km/hの自動車でテスト済みとのことなので、30-40km/h程度では全く風切りのノイズなく聞こえ、実用性の高さに驚かされた。

「デュアルマイクによるデジタルノイズキャンセリング」が威力を発揮し、技術力の高さに感心した。(また、電波強度が変化しても自動的にデータサイズを調整し聞きやすく保持するとのこと)

■ストレスのない使用感
友人と二人でポタリングの時。あらかじめルートを決めていないとき、路地を突然左折したいときでも、「左に曲がりま~す」と話すだけ。トークスイッチを押す必要はなく、まるで隣にいる人とおしゃべりする感覚だ。しかも、黙ると音はお互いに聞こえない。

黙ることで不要な通信もされないので、バッテリーもセーブされるし、不要な声が聞こえないので疲れない。

それでいて、ツーリングの時に綺麗な河川敷でチョット止まって写真とか、チェーントラブルで停止するときでも、「ちょっと止まって!」と話すだけでそのまま伝わる。どれだけツーリングが豊かになることだろう。

■豊富なインフォメーション
通信は自分のグループに相手が入ってくるか、相手のグループにこちらが入るかのどちらかだ。トータルで10人がひとつのグルーブで話せる。相手が電源を落として通信のグルーブから抜けたり、新しくグループに入ると、その都度聞きやすい女性の音声で「Aさんがグループに入りました」などと告知してくれる。

なので常時、グルーブ内のメンバーの通信状態を認識でき安心感が高い。

■電話も、音楽も楽しめる
イヤフォンは通常のブルートゥースイヤホンとしても使え、音楽も楽しめる(音楽を聴く専用イヤフォンとしてはさほど音質は高くはないが…)。音楽を聴きながら同時にBONXの通話も可能だが、音が重なるので、音楽は消した方が良いかも。

また、携帯電話もフツーに使えるので、携帯電話用のイヤフォンマイクとしても利用できる。電話を受けると、自動的にBONXの通話は一時的にグループから抜け、電話を切るとまた自動的にグルーブに復帰する、とても使い勝手が良い。

■50km先の友人とトーク
先日は50kmも遠方の友人と話せた。インターネット回線を利用しているので、当たり前と言えはそれまでだが、従来の糸電話程度のトランシーバーを思えば夢の世界だ。

■美しすぎるブリキのケース
付属品としてブリキ製と言われる小型の丸みのあるケースが付けられているが、その仕上げの美しさには驚かされる。ブリキとカタログに書いてあるものの、スムーズな手触りと光沢感のある塗装やビシッと締まる精度からはブリキ製とは想像もつかない。この拘りにBONXの姿勢を垣間見る思いだ。

■自転車のイヤフォンと交通法規
ここで心配なのは、片耳イヤフォンと各都道府県の道路交通法施行細則とのからみだ。東京都や神奈川県では「安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態」でなければ良い。とされている。

BONXではその対策としてイヤピースに隙間を作り、外部の音も聞こえる工夫がなされているので、充分これらの法規をクリアしていて、実際使用した体験から外部から遮断されて感覚は全くなく安全に使えた。万一、お巡りさんに声かけされて止められたら、直に停止しお巡りさんの声が聞こえている旨説明すれば、上記の部分は法規的にクリアされていると考えられる。

■気になる点
良いことずくめだが、あくまでもスマートフォンが使える電波環境が必須。山奥で携帯が使えない場所では全く役に立たないので、使用地域には要注意。それと、BONX Gripは連続7時間使用可能だが、スマートフォンのバッテリー強化も必要かもしれない。


〈価格〉
気になる価格だが、BONXのオンラインストアでは1個で1万5800円、2個セットで2万9800円、5個セットで7万1100円となっている。特定小電力トランシーバーよりはやや高いが、ノイズキャンセリング、無限と思われる通信距離、使い勝手の良さを加味すると他にチョイスはない。

〈スペック〉
■マイク方式:デュアルマイク
■重さ:約15g(*1)
■本体サイズ(イヤーループを除く):
■縦×横×厚み = 約32 × 約44 × 約18mm
■バッテリー方式:リチウムポリマー電池
■充電方式:マイクロUSB
■連続通話時間(BONXアプリ使用時):約7時間~
■待機時間:約400時間
■防水性能:IPX5
■Bluetooth: Dualmode Bluetooth 4.1 (Bluetooth classic and BLE)
■ペアリング済みスマホとの通信距離:最大約10m(Class 2)
■対応端末:iPhone 5以降、iPod touch 5th generation 以降のApple製端末、iOS 8以降。Android 4.3以降の各社端末
■同梱物:イヤーループ(S/M/L 3サイズ)、イヤーキャップ(S/M 2サイズ)、ステッカー、microUSBケーブル、製品マニュアル
■製品保証期間:購入より1年間




《津々見友彦》

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