その1:世界で戦うサムライフットボーラー、プロを目指したその先に「宝物」
その2:休職した末につかんだ「プロになる」という夢
■仕事を辞め、もうひとつの夢を追う
---:現在の競技活動を教えてください。
菊池康平さん(以下、敬称略):「プロになる夢」は叶いましたが、まだ「大勢の観客の前でプレーする喜び」を味わっていないことが心残りでした。そこで2014年にパソナを退職して再びプロリーグに挑みました。
去年はラオス、カンボジア、インドリーグへ挑戦です。ラオスでは犬に襲われ、インドでは入院し帰国したのですが…(笑)。同時にパソナから業務委託をされる格好でスポーツ支援事業を行っています。フリーで仕事をしているので、以前よりも練習時間は作れます。
---:仕事はどうしていますか?
菊池:なでしこジャパンの選手やFリーグの選手は、なかなかスポーツだけでは生活費を稼げない状況にあります。アルバイトもパチンコ屋などではあまりお金もたまらないし、疲れてプレーにも影響するし…という悪循環にあります。
ですから、そのアルバイトを営業の仕事やエクセルを使う仕事に変えるべく動いています。「セカンドキャリアを作っていく際にスキルが活かせる仕事をしよう」をコンセプトにした仕事をしています。
「働きながら競技を続けることのできる環境」がもっと整えば、スポーツを本気で続ける人が増え、日本のスポーツのレベルも全体的に上がると信じています。
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■現地にいないタイプが生き残る
---:挑戦してきた国のサッカーにおける特徴はありましたか?
菊池:東南アジアは足元がある選手が多いですが、全体的に小柄です。ですから、自分のように身長のある選手は生きる場合が多いです。対してオーストラリアはみな大柄で、小柄でクイックな動きをする選手が活躍できる。
つまり「現地にいないタイプ」が生きるんです。給料はインド、タイ、シンガポールは高かった。お金持ちがチームのオーナーをしていて、そのポケットマネーが流れてくることが多かったです。
住みやすい国にはいい外国人選手が集まるのでレベルが高いです。逆に言うと、住みにくい国にはチャンスがあるかもしれません。
---:サッカーを通して気づいた日本人選手の良さはありますか?
菊池:どんなチームにも合わせられること。時間を守ること。それは日本人の良さですかね。ただ、どんなチームにも合わせられるというのは時に自分を殺すことにもなります。
海外のプロリーグの選手は自己主張が非常に強く、自分でなんとかして打開しようとまず考えます。ポストプレーはほとんど評価されない。評価方法はわかりやすい。FWで言うと、相手をスルスルと抜いて、ズドンとシュートを打ち込める選手が評価されるんです。
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