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【THE REAL】湘南ベルマーレの心臓・永木亮太が秘めた可能性…ハリルホジッチ監督も惚れた心技体

オピニオン コラム
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今シーズンはこれで3ゴール。三竿のデジャブ通り、初ゴールは右ヒザを痛めた直後のエスパルス戦。ほぼ同じ距離からの直接フリーキックを、ほぼ同じスピードと弾道から鮮やかに沈めている。

「日本代表はもう何年も、直接フリーキックによるゴールを決めていない」

こうも嘆いているハリルホジッチ監督だけに、なおさら永木の存在感は増してくるのではないだろうか。指揮官はミドルシュートの重要性も説いているが、自らが視察したベルマーレ対ヴィッセルで豪快なミドルシュートを叩き込んだのも永木だった。

■幻となった代表入り

Jリーガーにとって、東アジアカップは真のA代表へとつながる登竜門だった。今後もワールドカップ予選が続くだけに、新戦力を試す機会はなかなか訪れない。ちょっとしたタイミングのずれで初めての代表入りが幻となった永木だが、もちろん焦りはない。

年代別を含めて日の丸に無縁だった永木は、A代表についてこんな言葉を繰り返してきた。

「それほど遠い場所ではないと思っていますけど、だからと言って代表ばかりを意識しても仕方がない。要はどれだけ湘南の力になれるか。ひたむきに頑張っている姿を見てもらえれば、チャンスは巡ってくると思っているので」

2013年シーズンのオフにセレッソ大阪をはじめとする複数のJ1クラブから、昨シーズンのオフには鹿島アントラーズから移籍のオファーを受けながらベルマーレに残留してきた。

理由は明白だ。成長するためにはどうすればいいのか。熟慮を重ねた末に、川崎フロンターレのジュニアユース時代に指導を受け、ベルマーレで再び巡り会った曹監督が掲げる「湘南スタイル」を自分たちの手で進化させていくことが、唯一無二の道だと判断したからだ。

2010年シーズンから苦楽をともにしてきた盟友、DF遠藤航が東アジアカップでハリルホジッチ監督の眼鏡にかない、9月のワールドカップ・アジア2次予選でも引き続き招集された。

ベルマーレの所属選手が日本代表戦でプレーするのは、遠藤以前では1998年のワールドカップ・フランス大会でピッチに立ったMF中田英寿とFW呂比須ワグナーまでさかのぼる。

実に17年もの空白期間を埋めた理由は、曹監督とともに成長してきた濃密な日々を抜きには語れない。テレビ越しに見た遠藤の姿に触発されたのだろう。チーム全体の思いを永木が代弁したのは、遠藤が全3試合に先発フル出場を果たした東アジアカップの直後だった。

「自信をつけて代表から帰ってきた(遠藤)航の姿を見ると。逆に自分たちも刺激を受ける。チームにいい雰囲気が生まれた意味でも、航の存在はすごく大きい。航とはずっと一緒にやってきたので、どのようなレベルの選手なのかはよくわかっている。航が代表であそこまでプレーできたことで、逆に自分に置きかえられますからね」

■"その先"を見つめる

激しいファイティングスピリット。芸術的な域に達した感のあるフリーキック。90分間を通して衰えない運動量。いわゆる「心技体」が右肩上がりの成長曲線を描く最高のタイミングで、遠藤の存在がさらに永木の気持ちを高ぶらせているわけだ。

永木が2度目の出場停止となった3日のモンテディオ山形戦で、ベルマーレは0対1で苦杯をなめた。勝ち点をあと「1」だけ積み重ねれば、3度目の挑戦にして初めてとなるJ1残留が決まるが、選手たちはファーストステージを10位で終えた段階で、すでに"その先"を見つめている。

「セカンドステージの戦いを来年、再来年へつなげていきたい」

こう語ったのは永木だ。7試合連続で先制点を許しているリーグ戦での負の連鎖を止め、残り4試合で現在の9位から可能な限り順位を上げる。セカンドステージが再開される前の10日には、松本山雅FCとの天皇杯3回戦も待っている。

右ヒザとの会話を重ねながら、その時点でのベストを積み重ねていく。ベルマーレが成長した先に待つ未来を信じながら、永木は全力疾走を続けていく。
《藤江直人》

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