【THE REAL】サンフレッチェ広島のスピードスター、浅野拓磨が抱く危機感と期待感…リオ五輪の一番星で輝く夢を求めて | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】サンフレッチェ広島のスピードスター、浅野拓磨が抱く危機感と期待感…リオ五輪の一番星で輝く夢を求めて

オピニオン コラム
浅野拓磨 参考画像(2015年3月27日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2015年3月27日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2013年10月12日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2014年12月14日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2014年12月14日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2014年1月12日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2015年3月27日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2015年3月31日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2014年3月11日)
「90分間あたりの得点率」という記録がある。ゴール数と出場時間から、その選手が1試合平均で何点をあげているのかを算出するものだが、今シーズンのJ1ではちょっとした"異変"が起こっている。

セカンドステージ第12節までの計29試合を終えた段階で、19ゴールで得点ランキングのトップに立つ宇佐美貴史(ガンバ大阪)のそれは「0.677」。同じく19ゴールで、前人未到の3シーズン連続の得点王を目指す大久保嘉人(川崎フロンターレ)も「0.682」とほぼ変わらない。

ジュビロ磐田などでプレーした中山雅史(現アスルクラロ沼津)のもつ歴代1位の通算得点記録「157」に、あとひとつと迫っている佐藤寿人(サンフレッチェ広島)は「0.529」。そして、百戦錬磨のストライカーたちを凌駕する数字を残しているのが、佐藤のチームメイトである浅野拓磨だ。


浅野拓磨

27試合、合計916分間に出場して、8ゴールをあげている浅野のそれは「0.786」。これが、後半から出場した24試合に限れば「1.042」にまではね上がる。1試合で1ゴール強。驚異的な数字だ。

短い出場時間のなかで、数少ないチャンスを確実にゴールへ結びつける。極限の集中力と高度な決定力とを必要とするスーパーサブに定着した20歳の浅野は、9月26日に敵地で行われた清水エスパルス戦でも眩い輝きを放っている。

ピッチに投入されたのは後半14分。いつものように佐藤との交代だったが、その5分後にエスパルスのFW鄭大世が1点を返し、1対2と追い上げてから状況が一変する。

J1残留へ後がないエスパルスは、同点、逆転を狙って波状攻撃を仕掛けてくる。そして、高まりかけたサポーターの期待感をため息に変えたのが浅野だった。

後半30分。GK林卓人が約60mのロングフィードを前線へ蹴り込む。ターゲットとなったのは、50mを5秒9で走破する韋駄天の浅野。突出したスピードを警戒しすぎたのか。勝手にバランスを崩したDF平岡康裕を軽くかわした浅野が、相手GK杉山力裕と1対1になる。

右足でボールをコントロールしてから、左足でシュートモーションに入る。もっとも、これはフェイク。再び右足にもちかえると、たまらず杉山がバランスを崩して倒れ込んでしまう。

必死に追走してきた平岡、カバーに入ったDF角田誠のスライディングタックルも届かない。対角線上に広がるゴール左を狙った強烈な一撃が、強烈な弾道を描きながらネットに突き刺さった。



ゴールの余韻も覚めない同35分には、MF青山敏弘からMFドウグラスを経由したパスに素早く反応。右足でのトラップでボールを前方に運び、一瞬にして平岡と角田を置き去りにした直後だった。右足の軽いタッチから放たれた芸術的なループ弾が、飛び込んできた杉山の頭上を緩やかに超えていった。

三重県の強豪・四日市中央工業高校から加入して3シーズン目。出場39試合目にして初めて達成した1試合複数ゴール。新たなページが刻まれる伏線は、エスパルス戦の3日前にあった。

「一人ひとりが本当に危機感をもって、まずは所属チームで100%の力を出し切ることが大事。一人ひとりがもっているものは必ずあると思うので、それを発揮させる力というものを、もっともっとレベルアップさせていかなきゃいけないと思っています」

表情を引き締めながら、熱い口調で決意を語っていた場所は町田市立陸上競技場。Jリーグ・U‐22選抜の一員としてFC町田ゼルビアとのJ3第30節に臨み、0対1で苦杯をなめた直後だった。

【サンフレッチェ広島のスピードスター、浅野拓磨が抱く危機感と期待感 続く】
《藤江直人》

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