みなさんはシルバーウィークをどのように過ごされましたか。僕はこのコラムでお知らせしたとおり、九州を自転車で巡りました。天気に恵まれた旅行のトピックを、順に紹介しましょう。
宮崎空港駅から南日向駅まで鉄道で移動後、日向岬などを巡って延岡市街に泊まった翌日。五ヶ瀬川に沿って高千穂を目指す道行きは、高千穂鉄道の遺構をたどるものとなりました。まずは細見駅跡。手前には国道に並行する橋梁もあってすぐに気づきます。盛土の上にはホームやレールが残ってますが、その一方で雑草も生い茂り、廃線後の月日の経過が感じられました。
続いて黄色に塗られたプレートガーダー橋。こちらは今にも列車が渡るのではと思われるほど、きれいな外観を保っています。蔵田で国道に別れを告げ、川沿いの県道に。国道に比して交通量も高低差も少ない道は、まさに自転車にうってつけです。高千穂鉄道も、この道に沿って延びていました。
まもなく対岸にコンクリートの鉄道橋を発見。その先、国道の干支大橋ははるか頭上をまたいでいます。さらに進むと鉄道が気づかぬ間にこちらに渡っていたようで、県道より一段低いところに軌道跡が。なぜ渡っていたことに気づかなかったのでしょうか。その理由は2005年の台風により、橋梁が流されたことにありました。さすがにないものには気づきようがありませんよね。
そこから2km弱進んだ先の槙峰駅は、駅舎や駅名標識、ベンチ、時刻表と、駅にある施設のすべてが残され、足りないのは車両と乗り降りする乗客ばかり。前述のプレートガーダー橋と同様、動態保存の趣です。さらに日之影町八戸地区に入ると、沿道に家が立ち並ぶようになり、いったんは道幅も広がります。
家並みが途切れて狭くなった道に代わり、星山ダムがせき止めたダム湖となって川幅が拡張。その上をまたいでいるのが高千穂鉄道の第3五ヶ瀬川橋梁で、今はウォーキングコースとして整備され、歩いて渡ることができます。土木学会の選奨土木遺産ということで、数ある遺構のなかでも白眉といえましょう。
町の中心にある日之影温泉駅は駅と温泉が合体した施設で、屋内には温泉やレストラン、鉄道資料室や休憩室が、屋外には無料の足湯があり、高千穂鉄道の車両が列車の宿として活用されています。その足湯に浸かって英気を養ったら、高千穂町を目指してこの日最後の上りに挑みます。
高千穂峡や高千穂神社で知られる町の、市街やや北寄りにある旧高千穂駅では、廃線後に経営を引き継いだ高千穂あまてらす鉄道がスーパーカートを運行。軽トラックを改造した車両が、高千穂鉄橋までを往復しています。距離は短いものの途中にはトンネルや天岩戸駅があって、ありし日の鉄道の姿を思い浮かべることもできます。その日(18日)は平日でしたからすんなりと乗れましたが、22日は11時30分の時点で予約で埋まっていたようです。
ということで今回は、高千穂鉄道に関する話題に終始してしまいました。そのため他のトピックについては、次回のコラムで取り上げることとしましょう。
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