「まだ自分自身のスタイルというか、こういう選手になりたいというビジョンをもてていない。その意味では、男子で言えば岡崎慎司選手や大久保嘉人選手、佐藤寿人選手のように、ワンタッチでゴールを仕留められるストライカーになりたいという思いがあります」
ようやくトップフォームを取り戻し、憧れてきた泥臭いワンタッチゴールを量産するようになった今シーズン。周囲から寄せられる期待の大きさと自分自身の現在位置とのギャップに悩み、苦しんできた日々を京川は笑顔で振り返った。
「私に実力がなかったから、そういう部分でのメンタルの弱さがケガにつながったのかなと、いまでは思えるようになりました。長い時間があったからこそ、サッカーの部分でも体の部分でも自分を見つめ直すことができた。遠回りしていても、私にとってはすごくプラスになる時間でした」

2014年3月の京川舞
先の女子ワールドカップは全試合、テレビの前で応援した。この大会で6大会連続のワールドカップ出場を果たしたレジェンド澤穂希(INAC神戸レオネッサ)は、準優勝後にこんな言葉を残している。
「次は(京川)舞たちに代表へ入ってきてほしい」
そして、世代交代は「起こる」ものではなく「起こす」ものだと、京川は決意を新たにしている。
「先輩たちの姿を見てきたからこそ、いまの私たちがある。自分もああいう選手になりたい、世界の舞台で戦いたいと気持ちにいまもさせていただいている。先輩たちに大きな背中を見せてもらってきたからこそ、私も期待に応えたいし、なでしこジャパンとして同じピッチに立ちたい」
代表メンバーの数は、女子ワールドカップの23人からオリンピックでは18人に減る。つまり、複数のポジションでプレーできる選手は、それだけオリンピック代表との距離を縮められることになる。
サイドアタッカーと左右両方のサイドバック。そして、必要なときにはフォワードとしても。プレーの幅を広げるチャンスを得たことが、京川の瞳をさらに輝かせる。
「いろいろなポジションをできたほうが、この先、招集される人数が少ないときでも呼んでもらえると思うので。オリンピックまでは試合数も合宿も少ないと思うので、できることはすべてやっていきたい」

連敗を喫した東アジアカップで、佐々木監督は積極果敢に敵陣へ攻め上がり、幾度となくチャンスを作り出した京川に「非常にアグレッシブだった」と及第点を与えている。
サイドバックとして犯してしまったミス、露呈してしまった甘さや拙さを決して忘れることなく、今後の成長への糧とすればいい。
来年のリオデジャネイロ・オリンピック、4年後のワールドカップ・フランス大会、そして26歳で迎える東京オリンピックへ。162cm、52kgの体にさらなる可能性を詰め込んだ京川が、3年越しのスタートラインに立った。