【THE REAL】衰え知らずの32歳…大久保嘉人がゴールを量産し、日の丸を手繰り寄せる理由 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】衰え知らずの32歳…大久保嘉人がゴールを量産し、日の丸を手繰り寄せる理由

オピニオン コラム
大久保嘉人 参考画像(2014年6月24日) (c) Getty Images
  • 大久保嘉人 参考画像(2014年6月24日) (c) Getty Images
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■フロンターレで磨きがかかった決定力の高さ、その要因

6月に33歳になる大久保は、今回招集された28人の中だけでなく、初陣だった3月の招集メンバーを含めても最年長となる。ハリルホジッチ監督を魅了し、手元に呼び寄せて見てみようと決断させた最大の要因は、まったく衰えることを知らない決定力の高さにある。

5月2日のFC東京戦で今シーズン7ゴール目をゲット。J1での通算ゴール数を「140」に伸ばし、憧れのカズ(三浦知良=横浜FC)を抜いて歴代4位に浮上した。ゴール後に披露したカズダンスを含めて華やかなスポットライトを浴びたが、もっと注目されるべき数字がある。

長崎県の強豪・国見高校からプロ入りした大久保は、日本国内ではセレッソ大阪、ヴィッセル神戸、そしてフロンターレでプレーしてきた。それぞれのクラブでマークしたゴール数は順に「39」、「50」、「51」となる。

一方で出場試合数を見ると、順に「87」、「154」、「75」となる。つまり、出場試合数が最も少ないフロンターレで最も多くのゴールを決めていることになる。1ゴールをあげるのに要する試合数は1.47。驚異的なハイペースを刻むストライカーに、司令塔の中村憲剛は苦笑いするしかなかった。

「本当にすごいよね。それまで何をしていたんだろうって感じですよね」

ヴィッセルから移籍して3シーズン目。大久保は「オレは何も変わっていないですよ」と豪快に笑う。

「変わったのはチーム。フロンターレは止まりながらやっているからね。あまり強くないチームは『裏へ走れ』とか、すべて全力でダッシュしないといけないからね。サッカーの違いだと思います。いままでで一番楽しいですよ」

以心伝心というべきか。中村も同じキーワードを用いて、大久保のゴール量産を説明する。

「嘉人は止まることができるんです。止まって、ゆっくりプレーしたほうがミスは出ない。前(のチーム)はスピードを上げすぎているところがあって、そこでミスが多くなってしまったと嘉人自身も認めていましたからね。他のことをやりすぎて、力を出せなかったのかなとも感じている。そこはウチにきてすごく変わったところだと思います」

2人が強調した「止まる」とは、何を意味するのか。中村が苦笑いしながら、緩急を巧みに使い分けることにあると補足する。

「嘉人は基本的に『横』と『後ろ』は考えない男ですからね。相手にとっては嫌だろうし、それで『前』がなくなったら僕に一度戻せ、ということです。そこから動き直して、ボールを渡せばまた『前』へ行っちゃう。それでいいし、好きにやってくださいという感じです。でも、ポツンと端っこを歩いたりして、上手くサボっているときもありますからね」

日本代表での経験も豊富な中村と、来年のリオデジャネイロオリンピック出場を目指すU‐22代表でも司令塔を務める大島僚太が攻撃を差配。レナトや進境著しい小林悠も攻撃に絡んでくるフロンターレで、ゴール前における緩急を駆使した駆け引きを含めて、大久保は点取り屋の本能を急速に取り戻していく。

《藤江直人》

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