【浦和レッズ・日本代表DF槙野智章選手に聞く ≪後編≫】誰よりもSNSを積極的に活用する理由 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【浦和レッズ・日本代表DF槙野智章選手に聞く ≪後編≫】誰よりもSNSを積極的に活用する理由

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【浦和レッズ・日本代表DF槙野智章選手に聞く ≪後編≫】誰よりもSNSを積極的に活用する理由
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サッカー日本代表の槙野智章選手インタビュー後編。
前編では、槙野選手の高いコミュニケーション能力の一端を、具体的な方法から聞き取る事ができた。音楽、ルーティン…それぞれに意図を持ち、周囲にアプローチする考え方と行動は、組織の団結という面での大きな貢献につながっている。

後編では、槙野選手の卓越したSNS利用法などに迫る。(聞き手はノンフィクションライター・藤江直人)

失敗することを恐れて守りに入っていたら、その人の言葉は面白くないはずなので


---:槙野選手はSNSを最も積極的に活用するJリーガーとしても知られています。例えばインスタグラムのフォロワーは実に25万人を超えていますが、投稿に関してルールなどは設けているのでしょうか。
槙野智章選手(以下、槙野):特に基準というものは設定していませんけど、サッカー選手という括りのなかで、サッカーをもっと盛り上げていく、僕たちのことをもっと知ってもらう、スタジアムへもっと足を運んでもらうための最高のツールとして使っている感じですね。

ただ単に自分がどうこう、ということを発信するためではなくて、浦和レッズにはこういう選手がいますとか、今はこんな刺激をもらっていますといったことを槙野智章という人間を介して、いろいろな人にサッカーをより広く知ってもらうための発信をしているつもりです。

使い方や発信の仕方を間違えてしまえば自分が追い込まれる、あるいは自分がマイナスに見られても仕方のないツールでもありますけど。でも、他の選手があまりやっていないというか、やってはいるものの、あまり発信していないので、そのなかで自分が違うことを発信するようにしています。

初日の練習終わり。 頑張るぞー!!! #ハリルjapan

槙野智章 Tomoaki Makinoさん(@makino.5_official)がシェアした投稿 -



---:それこそ、ほんの数年前でしたら。
槙野:考えられないツールですよね。ましてや僕は、動画を撮影して投稿しているので。動画になると他の選手はほとんどやっていなかったんですけど、ちょっと前にFC東京の林(彰洋)選手が僕の真似をして、チームバスの中の様子を撮ってアップしていたので、林選手にはひと言わなきゃいけないですね(笑)。

---:動画は誰かの協力を得て、撮影してもらっているのでしょうか。
槙野:プロデューサーになったような感覚で、僕が撮っています。SNSをやっていない選手も多いし、フォロワーの中には浦和レッズの他の選手のファンもいるし、僕のインスタグラムを見て他の選手を知ることもあるので。あえて自分は出ずに撮影に徹して、他の選手を出すという作戦も混ぜながらやっています。

---:最近投稿した動画の中で、会心の出来のものをあげると。
槙野:今はトレーニング風景の動画を多く投稿するようにしています。個人的にはこんなトレーニングをして、体や走力を強化していますという感じで。サッカー選手はどのようなトレーニングをしているのかを知りたい、という声がかなり多く寄せられたので。

Training⚽️⚽️⚽️

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---:実際にどのような個人トレーニングをしているのでしょうか。
槙野:僕の場合はけん引トレーニングと呼ばれる、体に負荷をかけながらスピードアップを図るトレーニングですね。個人トレーナーのもとで4年ほど前から積んできたので、徐々にですけど、成果が出始めてきているのかなと。あとは日本代表の長友(佑都)選手でも有名になった、フローインという体幹トレーニングも積んでいます。

---:長友選手は体幹トレーニングの分野では、すっかり有名になりましたからね。
槙野:そうなんですよ。だから、自分のキャラ設定じゃないですけど、それを作りあげてくれるのも、インスタグラムの特徴なのかなと思いますけどね。



---:となると、槙野選手のキャラとは。
槙野:僕はいろいろなことをしているし、その中でも今はファッションに関しては自分もこだわって発信している部分だと思います。サッカー選手やプロ野球選手はもちろんユニフォーム姿が第一だと思うんですけど、ユニフォームを脱いだ時にどんな感じの人なのか、というのも知りたいところじゃないですか。

モデルの方々はそういう部分を発信していくプロだと思うんですけど、あえてアスリートがそうした分野に一歩踏み入れる。こういうアイテムをもっているとか、こういう服を着用すれば面白い、といった点を発信していくのもありかなと思うんですよね。

可愛い?カッコいい? このリュック使ってみると良いんじゃない?? #huntingworld #ハンティングワールド

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---:先ほどマイナスに見られても仕方がないと言われましたけど、要はプレーで結果を出さなければ、サッカーに関係のない投稿をしているからだと批判されかねない、という意味なのでしょうか。
槙野:失敗している人ほど説得力がある、と僕は思うんです。数多くの失敗を積み重ねながら、それでもはい上がってきたからこそ、力強い言葉を発信できる。逆に失敗することを恐れて守りに入っていたら、その人の言葉は面白くないはずなので。

その意味では僕はいろいろなことにトライして、何度も何度も失敗して、さまざまなことを言われながらここまで来られた。だからこそいろいろな話ができると思っているし、自分に対してアンチ的な方を含めて、見てくれる人がいるということは僕にとってはすごく幸せなことだと逆に思っています。

---:浦和レッズや日本代表の試合後の取材エリアでは、槙野選手の周りには大勢のメディアが常に集まります。言われたように話が面白いし、楽しく言葉のパス交換ができるので。
槙野:ありがとうございます。僕もそこを感じ取りながらメディアの方々と話していますし、言葉のパス交換と言われましたけど、自分やチームのことを上手く表現することが大事だと思いますし、自分が発した言葉を記事にしていただけるのであれば、それはそれで僕にとっては嬉しいことではあるので。

---:よく言われることですけど、メディアの向こう側にファンやサポーターがいると意識しながら、言葉を発しているのでしょうか。
槙野:それは当然ですけど、難しい部分もありますよね。いろいろなとらえられ方があるので。それでも僕は、普通ならば逃げ出したくなるようなシチュエーションになるほど、自分が先頭に立ちたいという姿勢をこれまでも大事にしてきたつもりです。

---:時には辛辣な反応も届くわけですね。
槙野:いえいえ、毎日ですよ。でもそういう人がそういう声を上げてくださるほど、自分もやってやろうと思えるので。もちろん「頑張れ」と言われるのは嬉しいですし、その度に「ありがとうございます」と返しますけど、それだけでは強くなれない。厳しい言葉がなかったら、多分ここまで成長できていません。

---:そのように言える姿勢というか、考え方に感服します。
槙野: 本当にいろいろなことを感じてきましたから。だからこそ、厳しく言ってくれた方々に僕は逆に感謝しているんですよ。



---:厳しい言葉を投げかけられたといえば、国内組を対象とした2015年5月の日本代表候補合宿中に、バヒド・ハリルホジッチ監督との個人面談が設けられました。監督は「いいディカッションができた」と満足そうに振り返っていましたけど。
槙野:日頃から言われていたことですけどね。全部で20項目ほどを並べられて、それらに対してひとつずつ言われたというか。僕だけではなく、みんなに言えることでしたけど。ただ、そのためだけに自分の映像を編集してくれたし、プレーを選択するために浦和や代表の試合を見直して、時間を割いてくれたので。

---:それだけ成長の余地がある、成長してほしいという監督の檄でもあると。
槙野:監督にとって自分は必要な選手なんだ、という期待の裏返しだと思って、僕自身、変わろう、成長しようと努力してきました。実際にハリルさんの体制になってからずっと選んでもらっているし、ずっと日本代表の一員として戦ってきているので。もちろん試合に出て結果を残す、活躍することが自分の中での目標ですけど、まず何よりもチームが勝つことに尽きるので。

---:槙野選手にとって、ワールドカップとはどのような位置づけなのでしょうか。
槙野:夢ですよね。昔から目標として思い描いてきた舞台だし、年齢的にもラストチャンスだと自分では思っているので。岡田ジャパン、ザックジャパン、そしてハリルジャパンと選ばれてきましたけど、岡田ジャパンの時は最後の最後で落ちましたし、ザックさんの時は3年間呼ばれて最後の1年だけ呼ばれなかった。その意味では最後のところが僕にとっての課題だと思っています。

---:実際にロシアの地でピッチに立てば、人生で最大級の鼓動が鳴り響いてくるのでは。
槙野:それを感じたいですよね。自身が試合に出ているときの鼓動と、ベンチにいるときの鼓動と、日本からテレビで見ているときの鼓動はまったく違うと思うので。自分にとって一番いい鼓動の響きというものを経験したいし、ワールドカップは夢ですけど、夢で終わらせたくないと思っています。

※インタビュー前の試合でまぶたを裂傷し、腫れが残る中での撮影となった。
《藤江直人》

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