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エベレスト登山はネパール側とチベット側、通常2種類のルートがある。今回ルートに選んだのは南東陵のネパール側だ。南東陵から登ることでエベレストに隣接する世界第4位のローツェ(8516m)への登山もしやすくなり、荒川社長たちはエベレストとローツェの二座連続登頂を目指す。

今回ICI 石井スポーツからは荒川社長、奥田仁一(まさかず)さん、平出和也さんの3名が参加するが、国際山岳ガイドの近藤謙司さんが企画・運営するアドベンチャーガイズの公募登山隊とジョイントする形で登山許可を取っており、ベースキャンプなどをシェアするという。また、シェルパ(ネパール民族のポーター)の助けを借り、酸素ボンベも使用する。
エベレストとローツェの二座連続登頂について奥田さんは、「ルートは8割方同じです。エベレストのアタックキャンプ地であるサウスコルのC4から歩いて1~2時間にローツェのアタックキャンプ地があります」と説明。
ルートでは『ローツェフェース』が「硬い氷で傾斜もキツく、体力的にはイチバンキツいかな?」と話す。





登山で重要になるのは天気だ。平出さんは「風がおさまって登れるタイミングは必ず来る。そこまで焦らずじっくり待てるか。そういう当たり前のことが山の中できれば必ずチャンスはあります」と話し、自分に正直になることが大切と続けた。
「この時代はモノにあふれていて、必要なモノはすぐ届く場所にあって、お金を出せば手に入る。でも、これから行く環境はモノがない。人間も生きていくことができない極限の世界です。山に正直に、自然の中でいかに自分の気持ちに正直になれるか、余計なものを排除して何にも惑わされないことだと思います。苦しいときは苦しいって言えること」

福島出身で幼少時から山やスキーに親しんだ荒川社長。マッターホルン(4478m)やマッキンリー(現デナリ)登頂の経験はあるが、エベレスト登山を「ベースキャンプより上はすべてが難しいと思います」と話す。
家族にはエベレスト登山の詳しい内容は伝えていないという。家族からは「(無事に)戻ってきてね」ぐらいの声しかかけられていないそうだが、「それが多分優しさなのでしょうね」と荒川さんは眼を細める。
「特別なトレーニングもしていなくて、向こうで順応してゆっくり行こうってだけです。(記録を書く)エベレストノートというのを作って毎朝ランニングしたりしていますが、それが登山につながるかというとそういうものでもないと思いながら。(登山事故も多いので)エベレストやローツェの厳しい部分を事実として見て、無事に安全に帰ってくるのが一番ですね」

冬山トレーニングで行った八ヶ岳の阿弥陀岳南陵が奥田さん、平出さんと3人で初めて登った山だ。
「平出が先頭になってロープを持って、僕が間に入って、奥田が後を着いてきてくれる。何があってもロープ一本でつながっているんだなという実感が生まれました」
3人がお互いを信頼し、力を合わせ、世界で最も高い頂を目指す。

遠征日程
4月8日:日本出国
4月11日:ネパール入国・カトマンズ~ルクラ
4月20日:ロブジェピーク(6119m)登頂
4月23日:エベレストベースキャンプ入り(登山活動開始:登山期間35日間)
5月上旬~:エベレスト登頂、ローツェ登頂
5月28日:登山活動終了
6月3日:ルクラ~カトマンズ
6月5日:ネパール出国
6月6日:日本帰国
エベレスト登山の様子はICI 石井スポーツのSNSでも情報発信される。インスタグラムには一足先にネパール入りした奥田さんの写真が掲載されていた。



