自身の選手時代は1988年ソウル五輪4回戦敗退と、メダルには届かなかった栄監督。コーチに転向して数年後の2004年アテネ五輪から女子レスリングも五輪種目に採用され、吉田選手を筆頭に多くの金メダリストを育て上げた。これまで11個の金メダルを獲得し、国民栄誉賞を2012年に吉田選手、2016年に伊調馨選手が受賞している。
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栄監督は笑いながら、「僕は国民栄誉賞をふたり作ったんですよ。副学長になるような選手を作って、そして11個の金メダル。いつオレに国民栄誉賞やるんだよ」と横に座る至学館大副学長になった吉田選手に目を向ける。
吉田選手「あまり自分で言う人いないですよね。東京オリンピックで全階級優勝させたらもらえるんじゃないですか?」
栄監督「全階級?神業じゃん」
吉田選手「国民栄誉賞はやっぱりそれくらい優れた世界の記録を作った人じゃないと無理なので」
栄監督「あなたみたいな人?」
吉田選手「そうですね」
ふたりのやりとりに会場は大爆笑。親子のような掛け合いからは、金メダルを目指す指導者と選手という関係から生まれた深い絆も感じられる。
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レスリング一筋の人生を歩んできた吉田選手。五輪4大会で金メダル3つ、銀メダル1つを獲得しているが、2020年東京五輪に向けても「チャレンジする気持ちは忘れたくない」と話す。
「これまで(レスリング以外の)色んな経験をすることがなく、今そのぶん違うことに挑戦させてもらったりしています。また視野が広がって、こういう世界もあるんだと。レスリングだけが苦しいわけじゃないことも経験して勉強になっています」
五輪5大会連続メダル獲得も視野に入れている。2020年は38歳を迎えるが、「5大会連続でメダル獲得となったらすごいこと。憧れた谷亮子選手に並びたい」と明かした。元女子柔道選手で1992年バルセロナ五輪から五輪5大会連続でメダルを獲得した谷さんは、金2個、銀2個、銅1個を獲得している。
会場に向けて「色んなことに挑戦して楽しい人生を送っていただきたいです」と伝え、「私も自分の夢、今年は結婚…今年は無理かもしれないけど(笑)、まずいい人を見つけて、結婚して出産してというのが人生の大きな目標かなと思っています」と笑顔で締めくくった。
人材育成コンサルティングを展開するアチーブメントが企画したチャレンジJAPANサミット2017。「一度きりの人生、あなたは何に挑戦しますか?」をテーマに掲げ、さまざまな分野からプレゼンテーションが行われた。