ロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪とメダルなしに終わった自転車競技トラックだが、2020年東京五輪をにらんで大改革が行われた。実績のある海外コーチ2名を就任させ、日本自転車競技連盟(JCF)の橋本聖子会長は「金を含む5つ以上のメダル獲得をねらう」と意気込む。
●五輪メダル請負人、フランスのベトゥが自転車短距離陣のコーチに就任
オーストラリアのゲーリー・ウエスト氏がヘッドコーチを務めたアテネ五輪ではチームスプリントで銀メダル。同じくフランスのフレデリック・マニエ氏が務めた北京五輪では永井清史がケイリンで銅メダルを獲得した。ところが契約問題や金銭負担の重さなどがあって、連盟は国内コーチにシフトした。
ところが今回JCFは、フランスのブノワ・ベトゥ氏とオーストラリアのジェイソン・ニブレット氏をコーチに招いた。
「ロンドンまでは順調に伸びてきたが、その後は国際的に低迷。はっきり言うと指導者不足かな」とJCFの中野浩一強化委員長が10月31日に都内で行われた両コーチの就任記者会見で語っている。
日本人指導者では限界がある。強化育成のための新体制を構築していくなら現在最も実績を持っている海外コーチに就任要請すべきである。それを具現化すべくトラック競技短距離の強化育成新体制が取られた。
「かつてはメダルを獲得してきたが最近はグローバルの波に飲まれた。競輪選手のレベルを上げるためにようやくふたりのコーチを迎える体制作りができた」とJKAの吉田和憲会長。
「男女ともに世界に通用する選手を育てたい。2020年の東京五輪だけでなくその先も見すえた長期的な戦略として」
静岡県伊豆市にある日本競輪学校と隣接する日本サイクルスポーツセンターがトレーニング拠点となる。所有する科学的機材を駆使して練習を重ねるとともに、ハイパフォーマンスディビジョンと呼ばれる選抜選手らはここを通年のベースとして長期的な指導を受ける。
「まずは柔道に次いで日本誕生の五輪種目となったケイリンでメダル獲得をねらう。この競技は展開によってラッキーやアンラッキーがあるので、チームスプリントで確実にメダルを取れるレベルに強化していきたい」と中野委員長。
《山口和幸》
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