MCCを構成するメンバーは相応に歳を重ね、さらに新入会者も定年退職組が目立つということもあり、巡航速度も走行距離も下降の一途をたどっています。まあ、全員が等しくそうならばかまいませんが、なかには年齢を感じさせない脚力の持ち主、少数とはいえ若い人もいて、5年ごとの開催となる東京~直江津の300kmには10名を超える完走者がいます。
そのため活動のメインとなるサイクリング(ラン)の実施には、つねに苦労が伴います。日帰りランであれば事前予約は一切なく、クラブ員であれば誰でも参加可となっているわけですから、それも当然といえば当然。何の心配もいらないのは、神宮外苑絵画館前を起点に都内、なかでも23区内をさまざまなテーマ(坂道や湧水など)に従って巡る、いわゆるポタリング(距離は30km程度)ぐらいでしょうか。
■個人差が出る長距離ラン
では、長距離ランではどうするか?その策として最も簡便かつ多用されているのが、集合地点を複数設けるというものです。自身が担当したランを例に挙げましょう。私は絵画館前起点でも「東海道を西へ」というテーマを立て、国道15号や1号、134号などを経由して箱根湯本まで走る90km強のランを企画しました。
当然ながらメンバーから、「そんなに走れない」「幹線道路を走ってもつまらない」との声も上がりますから何とかしなければなりません。そこで途中の藤沢駅を、第2集合地点としました。こうすれば残す距離は40kmほどとなります。難しいのは、第2集合地点の出発時間をどうするかです。下見の結果を踏まえて11時としたものの、やはり単独走と集団走では勝手が違い、当日は30分ほど遅れての到着となってしまいました。
それでも翌年も懲りず、今度は「日光街道を北へ」ということで、やはり絵画館前から国道4号を北上しました。このときは第2集合地点(南越谷駅)だけでなく、第3集合地点(幸手駅)も設定。あいにくの雨にもかかわらず、予定どおりに到着することができました。雨のせいか交通量が少なく、しかも参加者の脚がそろっていたことが幸いしたようです。
■別ルートも用意
以上は日帰りランのものですが、宿泊を伴うランではより高度な手法も用います。こちらも僕が担当した、3泊4日で伊豆半島を巡ったランを例に挙げましょう。西海岸の温泉地である土肥に泊まった翌日は、松崎まで南下後、大鍋越を越えて湯ヶ野温泉へと向かいました。この峠は今も未舗装で、しかも高低差が600mあります。となると脚力に不安のある人や細いタイヤの人は無理。
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松崎まで南下後、大鍋越を越えて湯ヶ野温泉へと向かった(青い線)。途中から稲梓に迂回するルート(赤い線)も用意し、宿で再会
そこで稲梓に迂回するルートを用意し、希望者にはそちらを選んでもらいました。そしてその翌日も、メインは未舗装の林道となるため、そこを避けるルートを設定。いずれも別ルートのガイドを任せられる人がいたからできたことですが、おかげで予定した時間内に宿に到着。トラブルもありませんでした。
ルートを別にするだけでなく、鉄道など他の交通機関を利用する方法もあります。今年のゴールデンウイークのランでは、途中に小諸から野辺山を目指す距離40km高低差600mの区間がありましたが、担当者は自走組と並行するJR小海線を利用する輪行組とに分け、ドライブインで合流するようにしました。
このように工夫次第で脚力差を解消することはできますが、それでも一緒になればペースを合わせて走らなければなりませんし、どうしてもコースプランに制約が生じます。やはりある程度の規模のグループなら、脚力別にランそのものを分けたり、通常のラン以外に対象者限定のランを実施するのが一番です。