【THE REAL】香川真司がクリアした2つの節目…W杯ロシア大会にかける熱い想い 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】香川真司がクリアした2つの節目…W杯ロシア大会にかける熱い想い

オピニオン コラム
香川真司 参考画像(2016年3月29日)
  • 香川真司 参考画像(2016年3月29日)
  • 香川真司 参考画像(2016年3月29日)
  • 香川真司 参考画像(2016年3月29日)
  • 香川真司 参考画像(2016年4月2日)
  • 香川真司 参考画像(2016年4月2日)
  • 香川真司 参考画像(2016年3月29日)
■ブンデスリーガの節目

シリア戦が行われた夜に、慌ただしく羽田空港を飛び立つ。現地時間2日に待つヴェルダー・ブレーメンとのリーグ戦へ向けて、機中から心身のモードを切り替えていく。

出場すればブンデスリーガで通算100試合に到達する節目の一戦。しかし、香川をして「厳しい状況に置かれている」と覚悟させていたように、キックオフの笛をベンチで聞いている。

日本代表ではピッチ上に生じたあらゆるスペースへ縦横無尽に顔を出し、パスをもらってはさばき、ゲームメイクだけでなくゴールゲッターも担ってきた。

ドルトムントでもゴールに絡む役割は変わらない。そのうえで、今シーズンから指揮を執るトーマス・トゥヘル監督は、最終ラインとボランチの間でパスを受けるプレーを求めた。

ボールをもった瞬間に、すべての方向から相手のプレッシャーにさらされる危険地帯。そこをくぐり抜けてこそ活路を見いだせる。頭では理解していても、実際にピッチに立てば勝手が異なる。



今年に入り、ベンチスタートを余儀なくされる試合が多くなった。勝ち点5差で追う首位のバイエルン・ミュンヘンをとらえるために。高いレベルを選手に求めるからこそ、指揮官も妥協を許さない。

香川自身も、先発できないからといってメンタルが落ち込む、いわゆる負のスパイラルに陥ることはなかった。今年初めて招集されたハリルジャパンで、ハイインテンシティーのメニューを消化し、埼玉スタジアムのピッチでそれらを実践しながら決意と覚悟を高めていく。

「ドルトムントにはそれ(ハイインテンシティー)が元々あるし、さらに球際の激しさがり、スピードがあるなかでやらないといけない。当たり前のことですけど、ブンデスリーガもヨーロッパリーグのチームもシリアのレベルにはない。もっともっと厳しい戦いになるし、代表とは状況が違うなかで、しっかりとポジションを奪い取っていかなければならない」

残留争いを強いられているブレーメンに、1-1に追いつかれてから5分後の後半29分。香川がピッチに投入される。直後にまさかの逆転ゴールを許す。あらゆる意味で危機感がマックスに達したのか。

何度も手を叩き、珍しく感情を露わにしながらチームメイトたちを鼓舞した香川は、同点とされてからわずか3分後。ゴールの匂いを敏感に嗅ぎ取った。

タッチライン際を駆けあがったDFマルセル・シュメルツァーへパスが通った瞬間、香川はペナルティーエリアの外側からゴール中央へ向けて一気に加速。相手マーカーを置き去りする。

シュメルツァーがややマイナス気味に折り返す。後半8分に先制点をあげている、ガボン代表のFWピエール・エメリク・オーバメヤンが数人のマークを引きつけてニアサイドで潰れる。

すべての絵を瞬時に描いていたのだろう。ゴール前へフリーで走り込んできた香川は、左足のインサイドで確実にクロスをヒットしてネットを揺らす。体勢を崩しながらも目の前に転がるボールを拾うと、笑顔を浮かべることなくセンターサークルへ走り出した。



8万人以上が詰めかけたホームのシグナル・イドゥナ・パルクが、一気にヒートアップする。逆転を期待するムードに背中を押されるように、トゥヘル監督は2選手を同時に交代でピッチに送り出す。

そのひとり、コロンビア代表のFWアドリアン・ラモスが勝ち越しのヘディング弾を決めたのは後半37分。ドルトムントを勢いづかせた香川は、今シーズン6点目を神妙な口調で振り返った。

「あそこで決めるか決めないかというのは、今後をすごく左右すると思った」

主戦場とするダブルシャドーのファーストチョイスは、現時点でドイツ代表のマルコ・ロイスと、アルメニア代表のヘンリク・ムヒタリアンとなることを香川自身も否定しない。

だからといって、簡単に白旗をあげるつもりもない。人間はギリギリまで追い詰められたときに、本当の顔をのぞかせる。大仕事を演じそうな雰囲気は、日本を飛び発つ直前から漂わせていた。

「次の試合まで数カ月も空くので、いかに所属クラブで激しい戦い経験できるか。特に僕はそれを制さないといけないので。僕たちの目的はシリアに勝つことじゃないし、ましてやアジア2次予選を突破することでもない。最終予選はもっと厳しい試合になるし、その前にはキリンカップもある。強い相手に勝ち続けなければいけないし、その意味では次に集まったときに、一人ひとりが成長しているようにしないと」

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《藤江直人》

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