日本代表でもあれこれ考えすぎ、すべての仕事を完璧にこなそうとするあまりに、気持ちだけが空回りするケースが少なくなかった。背番号「10」の重さを、必要以上に意識していたのかもしれない。
求められるのはシンプルに、それでいて思い切りよくプレーする姿勢。就任からちょうど1年を経過し、バヒド・ハリルホジッチ監督自らが「第2段階」と位置づけた3月下旬からのキャンプは、迷いを払拭する上で最高の機会となったと香川は振り返る。
「今回は一人ひとりが刺激しあう、素晴らしい雰囲気のなかでやれた。練習の段階からスプリントの回数や球際の強さ、前に出て行く姿勢やその際のスピードといったものを意識できたし、いい練習ができれば試合でいい結果が出ることも肌で感じることができた。これらを所属チームでもしっかりと継続して、また集まったときに結果を残していけるように。いま現在を基準として僕たちはもっと、もっと成長していかないといけない。そんな手応えをつかむことのできたキャンプであり、試合だったと思う」
今回の招集で帰国する直前に、27回目の誕生日を迎えた。平成生まれでは初の日本代表選手として初キャップを獲得してから、まもなく8年になる。中堅組でもベテランに近い位置にいると自覚している。
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初めて臨んだワールドカップは、ブラジルの地で力を出し切ることなくグループリーグ敗退を余儀なくされた。もっとも脂の乗り切った29歳で迎える2018年のロシア大会へかける想いは、誰よりも強い。
グループEを7勝1分け、無失点で1位突破を果たしたハリルジャパンだが、対戦国との力関係を考えれば当然と言ってもいいだろう。9月から幕を開けるアジア最終予選の組み合わせ抽選会は12日。イラン代表やオーストラリア代表など、一筋縄ではいかない難敵が顔をそろえている。
ブンデスリーガは残り6試合。ベスト8に勝ち残っているUEFAヨーロッパリーグでは、現地時間7日に恩師ユルゲン・クロップ監督が率いるリバプールをホームに迎える注目のカードが待つ。
どんな状況でキックオフを迎えようとも、残された試合で得た経験を力に変えてみせる。心身両面でさらにたくましさを身にまとい、6月のキリンカップのピッチに立つ姿を香川は思い描いている。