【澤田裕のさいくるくるりん】ヤマハの電動アシスト付きロードバイク「YPJ-R」…高低差のあるコースは予備バッテリーも必要 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】ヤマハの電動アシスト付きロードバイク「YPJ-R」…高低差のあるコースは予備バッテリーも必要

オピニオン コラム

海蝕崖が続く海岸線に沿って進み、短いトンネルを抜ける
  • 海蝕崖が続く海岸線に沿って進み、短いトンネルを抜ける
  • 今回、ヤマハ発動機から借りた「YPJ-R」は、XSサイズのブラック×ブルー。トップチューブ長はほぼピッタリ
  • 総ケヤキ造りの建物に施された彫り物が見事な誕生寺の祖師堂
  • 鯛の浦を巡る遊覧船が出航したところ
  • 清澄寺までは平均勾配5.7%の急坂が続くため、HIGHモードを多用
  • 清澄寺は日蓮が出家して修業を積み、後に日蓮宗の開宗を宣言した寺
  • 通過した久留里の市街では、あちこちで清水が湧いている
  • 等しい勾配が続く坂道で、走行モードを切り替えてみた。上から順に時速10.4km(HIGH)、時速8.2km(STD)、時速7.2km(ECO)、時速6.9km(アシストオフ)を計測
ヤマハ発動機の電動アシスト付きロードバイク、「YPJ-R」の実走レポート第3弾です。勝浦に泊まった翌日は、安房天津まで外房を西進。メインとなる国道128号を避けて海岸線に沿って進むと、交通量が少ないうえに景色が次々と変わるサイクリングにうってつけの道でした。

■急坂で電動アシストを試す

走り出して最初に目にしたのは、太平洋の荒波によって形作られた海蝕崖が続く砂子ノ浦。ちょっとした上りの先には短いトンネルがあり、下ると集落が現れます。やがて到着した誕生寺は日蓮聖人がこの地で"誕生"したという伝えから後に改称された古刹で、その像を安置する祖師堂は270年の歴史を有し、総ケヤキ造りの建物に施された彫り物が見事です。聖人の化身とも言われる鯛の群れが見られる鯛の浦、その景勝地を巡る遊覧船の乗り場もすぐ近くとなります。

安房天津より先は標高310mに位置する清澄寺まで、勾配5.7%という急坂の連続。ここで電動アシストの効き目を試そうと、同じぐらいの勾配が続く区間で走行モードを切り替えてみました。


清澄寺までは平均勾配5.7%の急坂が続くため、HIGHモードを多用

■アシストに後ろめたい気も…

その結果を示した写真(前回のコラムで紹介)を再掲します。アシストオフモードで6.9kmだった時速が、ECOモードでは7.2km、STDモードで8.2km。それがHIGHモードでは10.4kmに。

前回述べたように絶妙のアシストであることは確かなのですが、それでもこれほどの速度の違いを見せつけられると少々後ろめたい気はします。アシストされているという感覚は特にHIGHモードにおいて顕著で、そのぶんバッテリーもみるみるうちに減っていきます。やはりHIGHモードは、ここぞというときに使う秘密兵器と考えたほうがいいようです。

HIGHモードを多用したせいで、1本目のバッテリーは60km地点で切れました。前日と比べて大幅減ですが、それでもECOモードのカタログ値を軽くクリアしています。液晶マルチファンクションディスプレイに表示される残りアシスト走行可能距離やバッテリー残量を参照しつつ、1日の走行でうまく使い切れるようにもくろむと、この日に泊まる宿までの上りで2本目が空になりました。

この日のコースは距離が106.65kmで、獲得標高は1308m。それだけの行程を2本のバッテリーでカバーできたわけですから、普通に走る分には十分。逆に言えば多少の荷物となって余分な費用が掛かったとしても、予備バッテリーを携行する価値は大です。


ヤマハ発動機の電動アシスト付きロードバイク「YPJ-R」

■2日間の実走で気づいたこと

各種操作にタッチパネルを採用せず、独立のボタンとしたことは正解でした。前者は直感的な操作が可能とはいえ、特に冬場など指付きグローブを用いているときは、感圧式であったとしてもうまく操作できないことも。それがボタン式ということで、視線を前に向けたまま手探りで操作できます。

ただ、ディスプレイに表示する項目の配置については一考の余地ありです。現状ではスピードメーターが最も大きく、かつ常時表示されているわけですが、これをもう少し小さくしてでも切り替えての表示となる8項目、なかでもトリップメーターは常時表示が望ましく思えました。あるいはガーミンのエッジシリーズやパイオニアのポタナビのようにユーザーがカスタマイズできるようにすると、YPJ-Rの大型ディスプレイが今以上に生きます。

また、YPJ-Rはスポーツ車といってもこれでレースに出る人はいませんから、ハブダイナモと自動点灯ライトを標準装備としてもいいでしょう。ツーリングや自転車通勤には必須のアイテムです。シートチューブに予備バッテリーをセットし、ハブダイナモから給電することも考えられます。

シートチューブといえばボトル台座がありませんでしたから、それは早急に対応してもらいたいところです。ボトルの水分がバッテリーにかかるのを恐れ、あえてそのようにしているのかもしれませんが…。

ヤマハの担当者にうかがった話を、最後に紹介しましょう。

澤田「電動アシスト付きのロードバイクを開発するにあたって、特に留意した点や難しかった点があったら教えてください」

ヤマハ「YPJ-Rはスポーツ車としての高い走行性能を備え、電動アシストでありながらかっこよく、走りの楽しさを具現化しました。その機能は発進~加速に特化させ、巡航領域(時速24km~)は快適な走りを提供するという、言わば"楽するため"から"乗って楽しむため"へとコンセプトの転換を図ったのです」

「電動アシスト付き自転車であることを感じさせない軽さと車体デザインを実現するには苦労しました。また、自分の足で漕いでいる感覚も大事にしつつ、不思議と疲労が少なく快適に楽しめる乗り心地は、これまでとは大きく異なります」

澤田「輪行する際に大きな支障とはならなかったものの、やはり15.2kgという重量は疲れた体にこたえます。フレームやフォークをカーボンにしたり、より軽量なパーツを用いたりすることで、さらなる軽量化が図れると思うのですが?」

ヤマハ「エントリー層をターゲットとしていることもあり、手の届きやすい価格設定・仕様としました。また、電動アシスト付き自転車の認定基準が1種類しかなく、いわゆる一般車(PAS)とスポーツ車(YPJ)の区別がないことも、さらなる軽量化を阻むものとなっています。安全性に配慮しつつ、独自に軽量化にチャレンジされているショップもあるようです」

3回のコラムを通じ「スポーツ車に電動アシストだなんて邪道だ!」と思っていた人にも、ヤマハのYPJ-Rが気になる存在になったことを願います。
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