鹿島神宮駅に降り立った僕は、120km先の上総一ノ宮駅を目指して走り始めました。最初の経由地となる鹿島神宮まではいきなり5%の上りとなり、さっそくアシストを起動。
その瞬間にかすかなモーター音が生じ、ペダルをこぐ足が軽くなりました。といってもそれは驚くほどではなく、「脚の調子が良くなったか?」と勘違いする程度です。その後は平坦路が続くため、走行モードをエコやアシストオフに。距離が距離ですから、予備のバッテリーまで空になってしまうことを恐れての選択です。

ヤマハ発動機の電動アシスト付きロードバイク「YPJ-R」
ちなみにカタログ上はHIGHモードで14km、STDモードで22km、ECOモードだと48kmの走行が可能となっています(自転車協会の電動アシスト自転車安全基準に規定された"標準パターン"で測定)。幸いにも追い風基調だったため、時速25~30kmの快走ペースをキープ。1時間45分余りで38km先の銚子に着きました。
電動アシストが働くのは時速24kmまでということで、ここまではほとんどその恩恵を受けていません。その代わりバッテリーを温存できただけでなく、「平坦なら15.2kgの車重が、ハンディにはならない」との証明にもなりました。
海鮮丼を食べ、体のバッテリーを満たして再スタート。この先も平坦基調とはいえ、犬吠埼を前後する海岸線沿いの道には20m近いアップダウンが、その先には高低差50mの坂も控えています。それを「電動アシストの威力を試すには絶好の機会…」などと余裕をかましていたわけではなく、遅かったスタートの影響もあって少し焦っていたのが実情。電動アシストの力を借りて、なんとか挽回しようとの魂胆です。
坂に差し掛かってここぞとばかりにHIGHモードに切り替えると、自分でもビックリのスピード。まるでマルコ・パンターニになったかのような気分です。とはいえまったくの電動とは異なり、自分の脚でも漕いでいるわけですから、上りきればそれなりの達成感も味わえます。介護の現場ではサポートを必要最低限にとどめ、残された本人の能力を生かすことの大切さが語られますが、それに近いようにも感じました。

屏風ヶ浦近くの県道を上っているところ。勾配は6%ほどとなる
このように電動アシストのありがたみを感じながら走っているうち、その瞬間が訪れました。そう、バッテリー切れです。いったい何km走ったと思いますか?トップの写真にも示したように100km。ECOモードの倍以上の距離をカバーすることができたのです。
バッテリーを温存するように心掛けたこと、そして平坦基調だったことがプラスに働いての結果ではありますが、そもそも運動特性に優れたロードバイクの場合、アシストは必要最小限で済みます。これは試乗する前から、ある程度は予想していたことでした。
日も暮れて到着した上総一ノ宮駅から、宿泊する勝浦までは2度目の輪行。高低差300mの坂を上り、獲得標高が1494mに達したコースを走ったときのレポートは次回お届けします。